夫婦といっても、現役時代は仕事や子育てに追われ、実際に顔を合わせる時間はそれほど多くないものです。しかし、リタイア後は状況が一変。子どもが巣立ち、夫婦2人だけの時間が一気に増えることで、これまで見えなかった不満や価値観のズレが表面化することも少なくありません。よく聞かれるのは、妻が夫に耐えられなくなるケースですが、もちろん逆もあります。今回ご紹介するのは、妻からの“ありえない扱い”に限界を感じ、「もう離婚しかない」と決意した男性の事例。しかし、ある事実を知った瞬間、彼の態度は一変したのです。老後の夫婦関係に何が起きていたのか? FPの青山創星氏が詳しく解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
「離婚してくれ。お前とは、もう暮らせない」…妻の小言と“上から目線”に耐えかねた71歳夫。〈投資資産3,000万円〉で自由に生きるはずが…「やっぱり別れません」手のひらを返したワケ【FPの助言】
衝撃の事実…「俺だけの3,000万円」のはずが、“半分”が妻のものに
「俺には金がある。あんな妻なら、ひとりのほうがマシだ。さっさと別れよう」
ついに離婚を決意した正雄さんは、弁護士事務所のドアを叩きました。しかし、弁護士からの説明は、正雄さんの完璧な離婚計画を根底から覆すものでした。
「婚姻期間中の収入から築いた資産は、原則2分の1ずつ分けるという決まりなんです」
実は、20年前から経済紙を熱心に読み込み、コツコツ銘柄を選び続けてきた正雄さんには、500万円のへそくりを元手に、含み益込み3,000万円にまで育てた資産がありました。離婚の「切り札」だった投資資産も、しかし例外ではありません。
「でも、妻は一銭も出していないんですよ? 俺が知恵と労力で6倍にしたものなのに……」
住宅2,500万円と、生活費補填で目減りした退職金残額1,000万円に加え、正雄さんが築き上げた3,000万円も、すべてが折半対象。恵子さんへ渡る財産分与の合計額は、およそ3,250万円にのぼることがわかったのです。
年金面でも…平均余命想定で「1,000万円超」の大損
さらに正雄さんは、弁護士の紹介で、シニア世代のマネープランに詳しいファイナンシャル・プランナーのもとを訪れました。そこで提示された離婚後の収支シミュレーションは、あまりにシビアなものでした。
正雄さんが受け取る厚生年金のうち、婚姻期間中に積み上げた部分は妻と折半(年金分割)になるため、月額約6万円が一生減り続けることに。平均余命までを想定した場合、その目減り額の合計は約1,080万円となります(※1)。
さらに、「年下の妻がいる夫」への家族手当である加給年金(年約42万円)も、離婚と同時に打ち切りとなるため、残り4年分の手当金約168万円も失うことになります(※2)。