退職後に積もった不満、決定的な一言で限界突破

「離婚してくれ。お前とは、もう暮らせない」

71歳の田中正雄さん(仮名)は、ある日の朝食の席で、10歳年下の妻・恵子さん(仮名)に告げました。40年連れ添った妻への、突然の離婚宣言でした。

65歳で定年退職してから早6年。年金と退職金で、経済的には不自由のない生活を送ってきた田中さん夫婦。しかし、「ゴミの出し方が違う」「なんでそんな服を」「また怠けてる」「散歩、どこに行くの? 報告して」……。一緒にいる時間が増え、日々繰り返される妻の小言と上から目線。夫の正雄さんは静かに不満を募らせてきました。

「40年も家族のために働いた俺が、なぜ家で肩身の狭い思いをしないといけないんだ」

そんな正雄さんの不満が、ついに沸点に達したのは半年前。

「正雄さんね、退職してから本当にお荷物なのよ。一日中ゴロゴロして、早くどこかへ行ってくれないかしらって、毎日思ってるの」

親族一同が集う孫の誕生日会。場は凍りつき、息子たちも苦笑い。恵子さんはお酒を飲んで酔っていましたが、笑いながら言い放ったこの一言が、正雄さんにとっての決定打となりました。

「孫の前で俺を笑い者にするのか」

その夜から、正雄さんの中で「離婚」の二文字が消えなくなりました。