(※写真はイメージです/PIXTA)
24時間体制の「無償の労働」
こうして、達也さんの生活は正夫さんの在宅介護に費やされることになりました。食事や入浴の介助、深夜の排泄対応、リハビリの送迎。やっと手に入れた自由な時間は、すべて介護に充てられることになりました。
厚生労働省『令和4年 国民生活基礎調査』によると、主な介護者が同居の家族であるケースは全体の45.9%、別居の家族のケースは11.8%。介護負担が同居者に偏るのは、当然のことといえるのでしょうか。
「会社は辞めましたが、相場は見なければならない。ただ、そんな時間もない。無報酬で働かされている気分です」
兄夫婦は「お前がいてくれて本当に助かる」と繰り返すだけで、実質的な交代や費用の分担を申し出ることもないといいます。達也さんを追い詰めているのは、身体的な疲労だけではありません。
FIREで仕事を辞めたうえに、介護でほとんどの時間を費やすなかで、社会から取り残されていく不安を感じるといいます。
「会社を辞めて、自分には家庭以外に“居場所”がない。家庭以外に繋がりを求めたかったけれど、そのようなことを考える間もなく、介護ばかりの生活になった。私はこのまま、社会から隔絶されたなかで生きていくのでしょうか」
家族からは無償の労働を強いられ、“何でも頼める便利屋”になっている達也さん。経済的自立を果たしたはずなのに、家族という閉鎖的な環境のなかだけの毎日を送っています。