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静かな退職…当事者の言い分
「私たちが若いころは、無理をしてでもチャンスを掴みにいくのが当たり前でした。しかし、今は効率を重視する人が増えている。私が良かれと思ってかけた『期待しているよ』という言葉さえ、彼にとっては重荷であり、むしろ警戒の対象になっていたのかもしれません」
事態は、高橋さん個人の問題に留まりませんでした。彼の冷淡とも取れる働き方は、チーム全体の士気にも影響を及ぼし始めます。周囲の同僚たちは、高橋さんが「やらない」と決めた隙間を埋める作業に追われ、疲弊していきました。
一方で、高橋さんは「佐藤課長が良い人なのは分かっています」としつつ、以下のように続けます。
「でもうちの会社は、頑張る人から搾取していく構造が明らか。以前はそれで頑張れたのですが、そこまで時間を削って自分のキャリアにプラスになるかといえば、そうではないことが分かってきた。当然、給与分は働き、あとは将来のキャリアを見据えて動いたほうが、自分のためです。それを不誠実だというなら、それは組織側の押し付けではないでしょうか」
佐藤さんは現在、マネジメントのあり方を根本から見直そうとしています。
「これまでは“熱意”という不確かなものに甘えていたのかもしれません。これからは、個を尊重したうえで、明確な評価基準と、それに見合う対価をどう提示できるか。精神論ではない、新しい信頼関係を築かなければ、職場はただの作業場になってしまうと考えています」