日本の公的年金制度は、現役時代の貢献を反映する一方で、世帯主を失った際の「世帯収入の激減」という課題を抱えています。特に長年家庭を支えてきた専業主婦にとって、配偶者の死は精神的な喪失ばかりか、経済困窮を引き起こすことも。ある女性のケースを通して遺族年金の死角について考えます。
嘘だと言って…「年金月20万円」68歳夫が急死。遺族年金頼りの65歳専業主婦、年金事務所で告げられた「月10万円」の現実に「もう、生きていけない」 (※写真はイメージです/PIXTA)

遺族年金の受給額に潜む落とし穴

厚生労働省『令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によれば、厚生年金保険(第1種)受給者の平均月額17万3,033円です。しかし、これはあくまで受給者本人の額であり、遺族厚生年金になるとその水準は大きく変動します。

 

遺族厚生年金の計算基礎となるのは、死亡した被保険者の「報酬比例部分」。単純に「受給していた年金額の4分の3」ではない点がポイントです。老齢年金には「基礎年金」と「厚生年金」の2階建て構造がありますが、遺族年金として引き継げるのは2階部分の厚生年金のみが対象となります。

 

さらに、自身の老齢基礎年金(令和8年度満額で月額7万0,608円)を受給している場合、世帯合計での受給額は、夫が健在だった頃の「夫婦合計額」から、夫の基礎年金分と厚生年金の4分の1が消失することになります。

 

内閣府『令和4年版 男女共同参画白書』によると、日本の高齢者の相対的貧困率は、女性が22.8%で男性の16.4%を上回っています。美津子さんのように、夫に先立たれたあと、生活が困窮しやすい傾向にあるといえるでしょう。

 

対策としては、現役時代からのiDeCoやNISAによる自助努力に加え、遺族年金の試算をあらかじめ年金ネット等で確認しておくことが不可欠です。「いくら入るか」ではなく「いくら減るか」という視点でのライフプランニングが、残された配偶者の生活を守る有効策となります。

 

 

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