日本の公的年金制度は、現役時代の貢献を反映する一方で、世帯主を失った際の「世帯収入の激減」という課題を抱えています。特に長年家庭を支えてきた専業主婦にとって、配偶者の死は精神的な喪失ばかりか、経済困窮を引き起こすことも。ある女性のケースを通して遺族年金の死角について考えます。
嘘だと言って…「年金月20万円」68歳夫が急死。遺族年金頼りの65歳専業主婦、年金事務所で告げられた「月10万円」の現実に「もう、生きていけない」 (※写真はイメージです/PIXTA)

「年金月20万円」が続くと思っていた

「主人が元気だった頃は、正直、老後のお金に困るなんて想像もしていませんでした」

 

都内の自宅で、佐藤美津子さん(65歳・仮名)は力なく言葉を絞り出しました。一昨年、夫の正雄さん(享年68歳・仮名)が急性心不全で急逝。正雄さんは大手メーカーのエンジニアとして定年まで働き、退職後は月に約20万円の年金を受給していました。

 

「私の基礎年金も合わせたら、もう十分。たまに旅行に行ったり……そんな平穏な日々が続くはずだったんです」

 

四十九日を終えた頃、美津子さんは重い腰を上げ、年金事務所を訪れました。夫がいなくなったあとの生活費として、夫が受け取っていた年金の多くが引き継がれると思い込んでいたからです。

 

「窓口の方に、私の今後の受給額は『月10万円くらいになる』と言われました。耳を疑いました。主人の年金が丸々もらえるわけではないと思いましたが、半分になるなんて……。住宅ローンの完済は終わっていても、固定資産税やマンションの管理費、光熱費だけで消えてしまう金額です」

 

遺族年金は国民年金に由来する遺族基礎年金と、厚生年金に由来する遺族厚生年金があり、前者は子の要件があるため、美津子さんが受け取れるのは遺族厚生年金だけ。また遺族厚生年金は、原則として死亡した配偶者の報酬比例部分の4分の3です。

 

「主人はよく『年金があるから大丈夫。年金は俺が死んだあとだって受け取れるんだから』と言っていました。事実、普段は年金も使い切らず、貯金するくらいでしたから。万一のときも十分な金額を受け取れるものだと思っていたんです。この先、どのようにして生きていけばいいのか……」

 

美津子さんのように「夫の年金額=世帯の安心」と誤認している層は少なくありません。

 

 

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