利便性を求めて住まいのスケールダウンを実現したところ、子ども世代が帰省を断念――。高齢期の住み替えが一般化するなか、それが家族の断絶を招くケースも少なくありません。ある女性の事例を通じて、現代における親子の適切な距離感の作り方について考えていきます。
連休は誰も帰ってこないの…〈年金月13万円〉72歳女性、ゴールデンウィーク、住み替えた「シニアマンション」で一人過ごす孤独の実態 (※写真はイメージです/PIXTA)

帰省のハードルを上げる、“余裕”のない実家

内閣府『高齢社会に関する意識調査(令和5年度)』によると、「住み替えの意向を持つ理由」で最も多いのは「健康・体力面での不安」の24.8%でした。次いで「自身の住宅が住みづらい」(18.9%)、「買い物が不便」(10.2%)、「交通の便が悪くなった」(9.8%)と続きます。これまでの自宅での生活に、何かしらの限界を感じたことが大きな動機であると推察されます。

 

また、希望する住み替え先の居住形態は、持ち家の人の場合「戸建て(持ち家)」がトップで34.0%。「分譲マンション含む集合住宅(持ち家)」(19.8%)、「シニア向け分譲マンション(持ち家)」(8.3%)と、依然として「持ち家」にこだわる傾向にあります。その選択の結果、家族が集う余裕がなくなるケースも珍しくありません。

 

かつて、日本の住宅には「客間」や「仏間」といった、普段は使わずとも盆暮れ正月に親族を受け入れるための空間が備わっていました。しかし、現代の都市型マンションでは、そうした余白がないことのほうが多いでしょう。

 

マンション内には「ゲストルーム」を完備している物件もありますが、設置されていないケースが圧倒的です。
親側が宿泊費を援助しようとしても、「年金生活の親に負担をかけるのは申し訳ない」という子ども側の気遣いから、結局は帰省を手控えるという悪循環も生まれています。

 

住み替えを検討する際には、日常生活の快適さはもちろん、その後の「家族との交流」をどう維持するかについても、具体的なイメージを持っておく必要がありそうです。

 

 

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