(※写真はイメージです/PIXTA)
親友の〈まさかのひと言〉で崩壊した投資の正論
ミサキさんの結婚式から数週間後。「引き出物のお裾分けを渡したい。お茶代は私が出すから」という誘いに負け、ハルカさんは久しぶりにカフェへ足を運びました。
ミサキさんは、目の前に座るハルカさんの姿を見て絶句します。着古した服、そしてテーブルに置かれたバキバキのスマートフォン。
「ハルカ、何かあったの? そのスマホ……どうして直さないの?」
「ああ、これ? 修理代もったいないから。私、今新NISAの枠を埋めるのに必死でさ。将来の資産形成のほうが大事でしょ?」
どこか誇らしげに語るハルカさんを見て、ミサキさんは悲しそうに言葉を紡ぎました。
「立派だね。でも……その枠が埋まったとき、一緒に喜んでくれる人は隣にいる? ご祝儀をケチって友達との縁を切って、ボロボロのスマホの画面を一人で見つめるのが、ハルカの望んだ生活なの?」
ミサキさんのその言葉は、ハルカさんが築き上げてきた「投資の正論」を打ち砕きました。
自分は、未来の自分を幸せにするために、今の自分を犠牲にしていたのではないか。ご祝儀の3万円をケチって失ったのは、親友の晴れ姿を祝うという「一生に一度の経験」と、かけがえのない「人とのつながり」でした。
「私、何やってたんだろう……」と呟き、ハルカさんの目からは涙が溢れ出しました。
「結婚式来てくれなかったのは悲しかったけど、私はこんなことでハルカと縁は切らないよ。たまには息抜きで遊んでね」
将来の安心を得るために、今という貴重な時間を削りすぎていた。そのことに、ハルカさんはようやく気づいたのでした。
[参考資料]
金融庁「NISAの利用状況の推移(令和7年12月末時点・速報値)」
内閣府「満足度・生活の質に関する調査報告書(令和7年)」