金融庁の速報値によると、NISAの総口座数は約2,825万に達し、若年層の投資熱はかつてない高まりを見せています。一方で、内閣府の調査では「自身が孤独である」と感じる20代が全年代で最多となるなど、つながりの希薄化も懸念されています。SNSの「若いうちから積立投資を」という言葉を信じ、職場の飲み会を「無駄」と切り捨てて新NISAに全振りしてきたショウヤさん(仮名・24歳)。しかし、周囲と協力してインセンティブを稼ぐ同期の姿と自身の「手取り」を見比べたとき、ふと湧きあがった感情の正体とは。
「新NISA、正しいのか…?」月7万円を投資する〈手取り21万円〉24歳ベンチャー社員。同期との“決定的な差”を前に、抱いた「ある違和感」 (※写真はイメージです/PIXTA)

同期のインセンティブ支給に昇給…チャンスを掴んだ要因は「人とのつながり」

要領はよいとはいえないものの、どこか憎めない性格をした同期のレンさんが、大型案件の受注をきっかけにインセンティブを支給され、さらに昇給も決まったというのです。

 

「受注できたのは、先輩やみんなのおかげです! 親身に接してくれてありがとうございます!」

 

レンさんは仕事帰りに同僚とよく飲みに行き、休日も趣味のコミュニティを通じて社内外に広い人脈を持っていました。そのつながりがきっかけで、チャンスを掴んだようでした。

 

「レンのやつ、飲み会ばかりでNISAなんてやってないくせに。1回のインセンティブと昇給で、コツコツ積み立てた俺の1年分の運用益なんて一瞬で抜かれた……」

揺らいだ「NISAでの積立投資」への絶対的な自信

ショウヤさんはふと、自分の給与明細と証券口座アプリの画面を見比べました。投資の評価額は少しずつ増えていますが、給与は入社してから変わっていません。むしろ、2年目から住民税が引かれて、手取りは新卒のころより減っている状態です。

 

楽しそうに仕事の成果を語り、周囲と笑い合うレンさんの姿が、ショウヤさんには眩しく映っていました。

 

「今の生活を我慢してNISAしてるけど、本当に正しいのか……? 何が正解なのかわからなくなってきた……」

 

将来の安心を買うために、今この瞬間しか得られない成長や喜びを犠牲にしているのではないか。ショウヤさんは、仕事の帰り道、自分の選択に疑問を感じずにはいられませんでした。

 

[参考資料]

金融庁「NISAの利用状況の推移(令和7年12月末時点・速報値)」

内閣府「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和6年)」