(※写真はイメージです/PIXTA)
親族会議で突きつけられた真実
父の死後、相続手続きのために兄が銀行から「過去5年分の取引履歴明細」を取り寄せたことで、すべてが発覚しました。
「毎月定額で20万円が引き出されているが、これはなにに使ったんだ? 領収書が一枚もないのはどういうことだ」
兄の問いに対し、ヒデトシさんは一切の反論ができませんでした。合計1,000万円にのぼる使途不明金。それは介護の実態とはかけ離れた、ヒデトシさん個人の借金返済や遊興費に消えていたからです。
さらに追い打ちをかけたのが、税務上の問題です。国税庁『令和4事務年度における相続税の調査等の状況』によれば、実地調査が行われた事案のうち、82.6%で申告漏れなどの非違がみつかっています。特に「現預金」は申告漏れ財産の筆頭であり、税務署は亡くなる直前の不自然な引き出しを厳しく追跡します。
領収書で証明できない1,000万円は、ヒデトシさんへの「生前贈与」や「貸付金」とみなされ、相続分から差し引かれるだけでは済みません。隠蔽と判断されれば、重い加算税の対象となる可能性があります。
ヒデトシさんに残されたのは、親族からの絶縁と、相続できるはずだった遺産の喪失、そして税務当局からの厳しい追及という現実でした。結婚記念日という本来温かいはずの数字を悪用した報いは、自身の生活基盤を根底から破壊する結果となったのです。
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