国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(2024年推計)」によれば、現在、高齢者世帯に占める「単身世帯(独居)」の割合は増加の一途を辿っています。特に、かつて「標準世帯」と呼ばれた夫婦と子供の世帯が減少し、ヒデカズさんのような「単身高齢男性」が、身近に頼れる親族を持たないまま都市部で孤立する問題が深刻化しています。本記事では、熟年離婚によって単身高齢者となったヒデカズさんの事例から、高齢期の「経済的困窮と孤独」の二重苦をみていきます。
「お母さんは、ずっと待っていたんだよ」…66歳元エリート夫、娘から聞かされた「家出妻」の衝撃伝言。ネット口座に振り込まれた「年金31万6,000円」を見つめ、スマホを握りしめて一人流した涙 (※写真はイメージです/PIXTA)

話し相手もいない部屋で直面した「老後破綻」の現実味

一人になった部屋は、驚くほどの手間を要しました。ゴミの分別方法すら把握しておらず、ゴミ箱にはたくさんのゴミが、台所には汚れが、洗濯機には洗濯物が溜まっていく。なにより堪えたのは、スマートフォンの通知が、カード利用のお知らせや広告以外に一つも鳴らないことでした。

 

連絡先には、仕事関係の番号は多いものの、退職したいま、自分から気軽に連絡をとれる相手が一人もいません。現役時代はゴルフや会食が趣味だったものの、すべて会社の経費や人間関係に紐付いたものであり、自腹で、かつ一人で楽しめるものもなにひとつありません。

 

月15万円の年金。それは、都会の片隅で誰とも会話せず、ただ生きていくだけのお金でした。最近、追い打ちをかけるように、マンションの修繕積立金の値上げが通知されました。ヒデカズさんは、自分が築き上げてきたと思っていた「幸福な老後」が、実はいかに脆弱な砂上の楼閣であったかを、一人になってようやく理解したのです。

熟年離婚と年金分割の増加

厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、離婚による年金分割の実施件数は制度開始以来、高い水準で推移しています。特に「合意分割」の浸透により、専業主婦期間が長い世帯ほど、離婚後の夫側の受給額減少が生活に直結する状況があります。

 

内閣府「令和3年版 高齢社会白書」等の意識調査では、近所付き合いが「ほとんどない」と回答する割合は、女性よりも男性のほうが優に高く、特に単身世帯の男性においてその傾向が顕著です。仕事以外のコミュニティを持たないまま定年を迎えることが、そのまま「孤独死予備軍」となるリスクを示唆しています。

 

総務省「家計調査(2024年平均)」によると、高齢単身無職世帯の月平均支出は約15万7,000円。年金分割後のヒデカズさんの受給額(15万8,000円)は、住居費等の固定費が高い都市部では、突発的な医療費や修繕費に対応できない、極めて予断を許さない水準です。

 

かつての名刺も、役職も、家族を養っているという自負も、一人になった部屋ではなんの助けにもなりませんでした。ヒデカズさんに残されたのは、支払いが続くマンションの維持費と、自分を必要としない家族の記憶だけでした。

 

【注目のウェビナー情報】​​​

【短期償却】4月28日(火)オンライン開催

《所得税対策×レバレッジ対策》
インフラ投資で節税利益を2倍にする方法

 

【国内不動産】5月9日(土)オンライン開催

《即時償却×補助金活用》
400万円から始める「民泊経営パッケージ」