内閣府の調査によると、現在の経済的な暮らし向きについて「心配である」と答える高齢者は約3割にのぼり、預貯金を取り崩して生活することが「ある」と答えた人は6割を超えます。老後資金の不足が叫ばれるなか、収入が多いからと過信して一度上げた生活レベルを下げられないまま、定年を迎えるケースがあとを絶ちません。本記事では、世帯年収1,800万円でありながらも、貯金がたった200万円しかない40代夫婦の事例をもとに、見栄が招く「老後破産」の恐ろしさを解説します。
タワマン暮らしで高級ディナーに海外旅行、SNSにアップされる「憧れの生活」…優越感に浸る〈世帯年収1,800万円〉40代夫婦の裏の顔。「不安しかない…」忍び寄る"老後破産"の足音 (※写真はイメージです/PIXTA)

生活水準を下げるのは至難の業…老後の資金準備の実態

平均以上の収入を得ているにもかかわらず、生活が行き詰まるケースは決して少なくありません。

 

内閣府の「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果」によると、老後の備えとして「資産形成(貯蓄・投資)など」に取り組む必要があると回答した割合は、定年前後である60代前半(60〜64歳)で4割超(男性44.7%、女性42.1%)と高くなっています。しかし、高収入でありながら貯蓄を持たない層も、一定数いることがわかります。

 

同調査の「現在の経済的な暮らし向き」について、「心配である(家計にゆとりがなく多少心配である・家計が苦しく非常に心配である)」と回答している高齢者は、全体で30.7%(約3割)にのぼります。さらに深刻なのは、日常生活の中で収入より支出が多くなり、これまでの預貯金を取り崩してまかなうことが「ある(よくある・時々ある)」と答えた人が全体の6割以上(61.2%)を占め、現在の貯蓄額が今後の生活の備えとして「足りない」と感じている人も過半数(57.1%)に達している点です。

 

このような経済的困窮の背景には、現役時代の高い生活水準を年金生活になっても下げられず、結果として家計が破綻してしまうケースが含まれていることが推測できます。高い収入があれば、本来なら余裕を持って老後資金を準備できるはずです。

 

しかし、「収入が多いから使っても大丈夫」という過信や、周囲との比較や見栄が過剰な消費を煽り、気づけば老後資金がまったくない事態に陥ります。「稼ぐ力」と「貯める力」はまったく別物であり、いかに高所得であっても、身の丈に合わない消費を続ければ、定年後に「老後破産」という厳しい現実が待ち受けていることを、これらのデータは示唆しています。

 

高収入ゆえのプライドと見栄から抜け出せず、老後資金の準備ができていないアッパーミドル層夫婦の事例を見ていきましょう。