(※写真はイメージです/PIXTA)
「売るに売れない…」査定結果に絶望
残債が多すぎる「オーバーローン状態」に陥っており、売却手数料などを考慮すると数百万円の手出しが必要だったのです。ろくに貯金をしてこなかったケンタさん夫婦には、もはや売ることも住み続けることもできない八方塞がり状態。
「査定結果は、療養中のマイには話せていません。ただでさえ精神的に参っているのに、これ以上追い詰めたくなくて……」
休職中のマイさんを気遣いながらも、一人で家計の重圧を抱え込むケンタさん。
「マイには休んでほしいですよ。でも、心のどこかで『早く復帰してくれないとヤバい』って焦ってる自分がいて。ほんと、嫌になります」
強気な借り入れが招いた悲劇に、ケンタさんはただ頭を抱えるしかありませんでした。
「何が憧れのタワマンだ……。見栄張ってペアローンなんて組むんじゃなかった」
共働き夫婦を待ち受ける「世帯収入」の過信とリスク
内閣府の「男女共同参画社会に関する世論調査(令和6年)」によると、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に対して、「反対」と答えた人の割合は全体の64.8%に上っています。このように夫婦共働きが標準的なライフスタイルとなるなかで、世帯収入の多さを前提に余裕を持たせた家計設計をする夫婦も増加していますが、そこには特有のリスクも潜んでいます。
総務省の「家計調査報告(令和7年)」によれば、2025年平均における二人以上の世帯のうち「勤労者世帯」の消費支出は、月額平均で34万6,297円と高く推移しています。支出の内訳を見ても、交通・通信費(月額4万5,730円)や光熱・水道費(同2万4,547円)など、毎月の固定費負担が確実にかかってきます。
これに毎月の住宅ローン返済が加われば、家計の余裕はあっという間に失われます。特にペアローンは、夫婦双方の収入を合わせることで借入れ可能額を最大化できるメリットがある一方、夫婦どちらかの収入が途絶えた瞬間に返済計画が崩れるリスキーな側面を持っています。
今回のケンタさん・マイさん夫婦のように「将来も今の収入が続く、あるいは上がる」という前提で返済ラインギリギリのローンを組んでしまうと、病気や休職、妊娠・出産といった不測の事態に対する耐性がまったくありません。共働き世帯こそ、片方の収入だけでも最低限の生活が維持できる現実的な資金計画や、万が一の際の貯蓄の確保が不可欠だといえるでしょう。
[参考資料]
内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査(令和6年)」
総務省「家計調査報告(令和7年)」