(※写真はイメージです/PIXTA)
大金をかけた予備校を内緒で休んだ娘
「サラさんの姿が見えないのですが、なにかありましたか?」
予備校からの電話を受けたとき、ミサさんは一瞬、耳を疑いました。娘のサラさん(18歳)は、今朝もいつもどおり「いってきます」と家を出たはずでした。
ミサさんが45歳のとき、不妊治療の末にようやく抱きしめることができた一人娘。夫と二人、「この子のためなら」と、教育にも食事にも、心血を注いできました。現役合格は叶わなかったものの、娘の「もう一年頑張りたい」という言葉を信じ、100万円を超える予備校代を迷わず振り込みました。
しかし、娘が向かったのは、机の前ではかったのです。
外では「いい子」な娘が、家庭で見せる他責の顔
サラさんは、外では「いい子」で通っています。温厚で人当たりがよく、友達も多い。近所の人や親戚からも「優しいお嬢さん」と評判でした。しかし、家族の前での彼女は、あまりに脆く、意固地です。
「予備校の先生の教え方が合わない」「部屋が集中できる環境じゃない」「お母さんのプレッシャーのせいで頭が痛い」
ミサさんが問い詰めると、サラさんは頑固に口を閉ざすか、周りのせいにして自分を守ります。自分でも「いまのままではいけない」とわかっているはずのに、努力ができない。娘の部屋に入れば、床には数日前に「新しいのを買って」とせがまれて買い与えた単語帳が、一度も開かれないまま転がっています。サラさんはベッドに潜り込んだまま、スマートフォンの画面を無心にスクロールしていました。