老後の生活を支える大切な柱である「年金」。長年、家計をやりくりしてきた方ほど、通帳の数字がわずかでも変われば敏感に察知するものです。しかし、ある日突然、身に覚えのない減額に直面したらどうでしょうか。そこには、制度を正しく理解していなければ見落としてしまう、意外な「落とし穴」が潜んでいます。
「老後は安泰」と笑っていた年金月13万円・67歳元専業主婦、元夫の死で知った「年金分割でも遺族年金はもらえない」現実に絶句 (※写真はイメージです/PIXTA)

混同しやすい「年金分割」と「遺族年金」の決定的な違い

佐藤さんのような誤解は、決して珍しいものではありません。年金分割と遺族厚生年金は、いずれも「配偶者の年金」に関わる制度であるため、両者が連動しているかのように捉えられがちですが、実際には仕組みも前提も大きく異なります。

 

まず、年金分割は、婚姻期間中に形成された厚生年金の加入記録(標準報酬)を夫婦で分け合う制度です。分割後は、それぞれが自身の年金として受け取ることになり、元配偶者の生死や受給状況とは切り離されます。言い換えれば、離婚時点で「精算」が完了している制度です。

 

一方、遺族厚生年金は、被保険者が亡くなった際、その人に生計を維持されていた配偶者などに支給される仕組みです。「法律上の配偶者であること」が前提条件となります。離婚後はこの要件を満たさないため、たとえ過去に婚姻関係があり、年金分割を行っていたとしても、受給対象にはなりません。

 

つまり、「分割しているから遺族年金も受け取れるはず」という理解は、制度上は成り立たないのです。

 

もっとも、こうした誤解の背景には、老後資金に対する不安の高まりもあります。厚生労働省『令和6年 国民生活基礎調査』によると、年金を受給する高齢者世帯において、収入の8割以上を年金を占める割合は59.8%。一方、総務省統計局『家計調査報告〔家計収支編〕2025年平均結果』では、65歳以上の無職夫婦世帯は月平均で約4万2,000円の赤字。年金への依存度が高く、生活は常に赤字……こうした状況を踏まえれば、佐藤さんのように「年金が増える可能性」に期待を寄せてしまうのは、無理もないといえるでしょう。

 

老後資金をめぐる制度は、一見すると複雑でわかりにくいものです。しかし、その理解に曖昧さが残ったままでは、佐藤さんのように「想定していた将来」と「現実」との間に、大きなズレが生じかねません。

 

 

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