公務員の退職金事情から垣間見る「公務員の離職」の実態
総務省『令和6年度地方公務員の退職状況等調査』によると、令和6年度の離職者4万3,201人のうち、定年退職者は全体の27.5%に留まります。普通退職(定年や死亡、懲戒免職などを除く、自己都合や契約期間満了などによる一般的な離職)は59.6%です。そのうち、在職期間の通算を伴う退職等が7.4%、定年前再任用短時間勤務職員となるための退職が4.3%であることから、残り47.9%、数にして2万人ほどが自己都合による退職だと考えられます。
また、全体の6.9%は勧奨退職、4.0%は早期退職募集制度による退職でした。地方公務員の勧奨退職は、自治体が人事管理目的(高齢層の整理や若返り)で職員に退職を促し、合意のもと退職する制度です。自治体によりますが、一般的に50代(50歳〜59歳など)で勤続年数が20〜25年以上が対象となり、自己都合退職よりも割増された退職金が支給されるメリットがあります。
一方で、地方公務員の「早期退職募集制度」は、主に定年前に退職する意思を持つ職員(一般的に45歳以上など)を対象に、組織の若返りや人事構成の適正化を目的として、自己都合よりも割増された退職金を支給する制度です。現在、およそ13%の自治体で導入されています。
このように、地方公務員の離職理由をみていくと、定年まで勤め上げるケースは全体の3割に満たないのが実情です。
公務員は安定しており、一度採用されれば定年まで全うするのが一般的であると考えられがちですが、実際には民間企業と同様に、キャリアの途中で組織を離れる選択は決して珍しくありません。
また、勧奨退職や早期退職募集制度といった、組織の新陳代謝を目的とした「事実上の早期退職勧告」が存在し、一定数の職員がこれに応じている現実もあります。高額な退職金の背景には、こうした人事管理上の調整や、定年延長という制度の過渡期における複雑な運用、そして長年にわたる勤務継続という高いハードルがあります。
最新の統計が示す離職の実態は、地方公務員という職業が決して安泰というわけではなく、組織の新陳代謝や個人のキャリア選択、さらには制度改正の波にさらされる、厳しい雇用環境の一側面を浮き彫りにしています。