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「孫への援助」が老後資産を減少させる
林さん夫婦のように、子や孫への経済的支援が老後生活の負担となるケースは珍しいことではありません。
内閣府『令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果』によると、高齢者の金銭的なやり取りにおいて、世代間の偏りが明らかになっています。同調査の「子や孫との金銭のやり取り」に関する項目では、過去1年間に子や孫から金銭的な援助を「受けた」と回答した高齢者はわずか2.7%に留まる一方、子や孫へ金銭的な援助を「した」と回答した割合は18.7%に上ります。
さらに、その具体的な内容(複数回答)を見ると、「祝い事や小遣い」が83.1%と最多ですが、「日常の生活費」も10.1%、「学費やその他の教育費」が9.0%となっており、本来は現役世代が負担すべき固定費を高齢者が肩代わりしている実態が確認できます。
こうした支援を行う理由については、「子や孫の生活を助けるため」が44.5%と最も高く、次いで「親(祖父母)として当然だと思うから」が33.5%となっています。林さんのように「貯蓄5,000万円」「年金月34万円」といった一定の資産を持つ層ほど、子世代の経済状況を考慮した際、自らの老後資金を支出に回してしまう傾向があります。
しかし、同調査では「日々の暮らしに困ることはない」と感じている高齢者が全体で約7割を占める一方で、今後の生活については「健康」や「介護」への不安が上位を占めています。
ここで重要なのは、手元にある5,000万円という資産が、老後の全期間においてどのような役割を担うかという点です。この資金は、子世代への援助に回せる余剰金ではなく、将来的に自身に発生する介護サービスの自己負担分や、公的年金では賄いきれない医療費、住居の維持管理費などを生涯にわたって支えるための生活維持費です。
有料老人ホームの入居一時金や、物価上昇による家計支出の増大、長寿に伴う生活期間の延長を考慮すれば、5,000万円という額は、第三者に依存せず自立した生活を完結させるために必要な原資といえます。
このように、高齢者世帯が子世代の家計を補填し続ける構造には、自身の老後設計を不透明にする家計管理上のリスクと、資産の減少が心理的圧迫となる懸念が潜んでいます。林さんのケースでは、年間250万円というペースで貯蓄が目減りしており、この状態が10年、20年と続けば、将来自分たちに高額な医療費や介護費用が必要になった際の選択肢を狭めることになりかねません。
これらの課題に対する解決策としては、家族間であっても支援の範囲を明確に規定することが重要です。祝い事などの一時的な支出と、学費や生活費といった継続的な支出を区別し、自身の将来のリスクを算出したうえで、支援額の上限を設ける必要があります。無計画な支援の継続は、最終的に高齢者自身の生活の質を損なう要因となります。
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