「自分は人並みの生活を送っている」という自負が、時として老後の落とし穴になります。長年、仕事に邁進し、十分な年金を受け取っているはずの元サラリーマンでも、無意識の支出が積み重なれば、資産はどんどん削られていくもの。ある男性のケースから、老後破綻を未然に防ぐために直視すべき「老後の現実」についてみていきましょう。
72歳で初めて知りました…年金月18万円・元サラリーマン、貯蓄が尽きるまで「あと11年の現実」に唖然 (※写真はイメージです/PIXTA)

長生きリスクに備える「資産寿命を延ばす」の重要性

総務省『家計調査 家計収支編(2025年平均)』によると、高齢無職世帯(65歳以上)の平均的な毎月の収支は、可処分所得22万1,544円に対し、消費支出は26万3,979円と、毎月約4万円の赤字となっています。この不足分は、貯蓄の取り崩しによって補われているのが実態です。

 

金融庁の報告書で注目された「老後資金不足問題」では、老後が夫婦で30年続くと仮定した場合、約2,000万円の不足が生じる可能性が指摘されました。

 

これはあくまで当時の家計調査に基づいた試算であり、実際にいくら不足するかは人それぞれです。しかし、多くの世帯が長期的に資産を減らしながら生活していることは明らかでしょう。

 

さらに、厚生労働省『令和6年(2024年)簡易生命表』によると、日本人の平均寿命は男性で81.09年、女性で87.13年。一方で、健康寿命との差も存在し、医療費や介護費の増加が後半に集中する傾向があります。平均寿命といっても、実際にどれだけ生きられるかは誰にもわかりません。そこで考えるべきは、「いかに資産寿命を延ばすか」ということです。度を越した節制により人生を楽しむことができないというのは本末転倒ですが、長生きリスクに備えるための努力は欠かせません。

 

資産寿命の延ばし方としては、「長期・分散・積立投資」や「できるだけ長く働く」などがありますが、中村さんのように引退した70代であれば、支出の見直しが最も現実的です。生活費の無駄を省き、取り崩し額を下げる――それだけでも、見える景色は大きく変わるはずです。