(※写真はイメージです/PIXTA)
所得制限撤廃の裏で膨らむ「授業料以外」の教育費
2026年度、日本の高校教育支援は大きな転換点を迎えそうです。文部科学省の方針により、国の「高等学校等就学支援金」における所得制限が撤廃され、年収に関わらず公立・私立ともに授業料の支援が受けられる体制が整う見通しです。
私立高校についても、全国平均授業料水準である「年額45万7,200円」を上限とした支援金の引き上げが計画されており、佐藤さんのような世帯にとって、長年障壁となっていた「910万円の壁」は事実上消滅します。
しかし、支援の枠組みが広がる一方で、家計を圧迫する「授業料以外」の支出が新たな課題として浮上しています。その筆頭が、GIGAスクール構想に伴うICT関連費用です。
文部科学省が進める「DXハイスクール」事業などにより、高校教育のデジタル化は加速していますが、端末代の公費負担については自治体間で大きな格差があります。義務教育期間である小中学校とは異なり、高校では端末代を「保護者負担(私費)」とする自治体が多く、入学時に数万〜10万円単位の初期費用が発生します。
さらに、通信費や学習アプリのライセンス料といったランニングコストも「授業料」には含まれないため、支援の対象外となるケースが一般的です。
加えて、学校納付金のなかにある「施設整備費」や「教材費」、さらには「修学旅行費」や「制服代」といった活動費にも、無償化の恩恵は届きません。一部自治体では端末代の全額公費負担を継続する先進的な事例もありますが、多くの地域では依然として保護者の持ち出しが続いています。
「授業料がタダになる」という言葉の響きとは裏腹に、教育の高度化に伴う「実費」は右肩上がりで増え続けています。所得制限が撤廃されたとしても、物価高騰と教育費のインフレが同時に進む現状では、子育て世帯の「手残り」が増える実感は乏しいままです。
デジタル化や教育の高度化に伴い、今後も「授業料に含まれない費用」は膨らみ続ける可能性も十分。子育て世帯の負担減は「教育を受けるためにいくら手出しが必要か」というトータルコスト全体を見直さないと実現しそうもありません。