(※写真はイメージです/PIXTA)
憧れの「一戸建て」に向けて退職金を全振り
都内の賃貸マンションで暮らしていたシゲルさん(66歳)とヒロコさん(66歳)夫婦は、シゲルさんが65歳で完全に仕事をリタイアしたのを機に、地方への移住を決意しました。
「定年後は自然に囲まれた広い家で、家庭菜園でもしながらのんびり暮らしたい」それは、若いころから田舎暮らしに憧れていた夫婦の長年の夢でした。都内に住む長女のミカさん(35歳)は、「その年でなれない環境に引っ越すなんて」と心配しましたが、両親は「東京より物価も安いし、年金月18万円でも余裕をもって暮らせるさ」と聞く耳を持ちませんでした。
夫婦の貯蓄は、シゲルさんの退職金1,500万円のみ。そのなかから900万円で築古の庭付き一戸建てを購入し、水回りや断熱材などの最低限のリフォームに300万円をかけました。さらに、中古の軽自動車を2台(計200万円)購入。手元に残った資金はわずか100万円になってしまいましたが、「家賃もかからないし、野菜は自分で作ればいい」と、夫婦は新生活をスタートさせました。
1年ぶりに再会した両親の“異様な姿”
移住から1年後。子どもの受験が終わり、ひと段落した長女のミカさんが、有給休暇を使って両親の様子をみに訪れました。最寄りの新幹線の駅からレンタカーを借り、雪道を1時間以上走ってようやく実家に到着したミカさんは、玄関から出てきた両親の姿をみてぎょっとしました。
東京にいたころは小綺麗にしていた母親のヒロコさんは、髪もボサボサで肌はカサカサに荒れ、実年齢よりも10歳は老け込んでみえました。父親のシゲルさんに至っては、ゲッソリと痩せこけ、腰をさすりながら歩いています。家の中も、以前のように整頓された様子はなく、段ボールや農具が無造作に積まれて薄暗く、どこか殺伐とした雰囲気が漂っていました。
「私の知っている両親じゃない……」あまりの変貌ぶりにミカさんが理由を尋ねると、両親は田舎暮らしの現実を語ってくれました。