いつまでも子を心配する親。一方で、年を重ねてだんだんと体の自由がきかなくなっていく親を、子が過剰なまでに心配するケースも珍しくありません。その背景に何があるのか。ある親子のケースから、過剰な干渉を招く不安の正体を探ります。
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「親の楽観」と「子の危機感」のズレ…デジタル監視の裏にある情報不足

子が過剰なまでにデジタル監視を強めてしまう背景には、親の心身の状態や将来の意向を「実は何も知らない」という不安が隠れているのかもしれません。

 

国立社会保障・人口問題研究所『第7回全国家庭動向調査(2022年)』によると、夫婦において4人いる親のいずれかと同居している割合は15.6%。実に8割強の人が、親と別居しています。一方で、時間的距離に注目すると、「近いほうの母親」まで60分未満と回答した人が72.1%。「妻の父親」が57.5%、「妻の母親」が59.3%、「夫の父親」が59.3%、「夫の母親」が57.7%と、いずれも半数を超えています。別居はしているものの、すぐに駆けつけられる距離に住んでいるというのが昨今の親子の距離感です。

 

しかし、その実態は「見えているようで見えていない」場合が多いようです。SOMPOひまわり生命保険株式会社とSOMPOケア株式会社が共同で行った『「親のこと、知らなすぎ問題」実態調査』では、この認識のズレが顕著に表れています。

 

調査によると、親世代の68.2%が親子関係を「とても良好」と認識しているのに対し、子世代は45.8%に留まり、22.4%もの開きがありました。さらに、親の7割以上が現在の関係に満足している一方で、子世代の約76.0%が「親の老後や資産について詳しく知らない」と回答。そのうち53.7%もの人が、ふとした瞬間に将来への不安や危機感を抱いていることが判明しました。さらに、もし明日親が意思疎通できなくなった場合、親の62.2%が「子は迷わず対応できるはずだ」と全幅の信頼を寄せているのに対し、実際に「自信がある」と答えた子は34.8%に過ぎませんでした。

 

この「親の楽観」と「子の自信のなさ」の乖離が、過剰なデジタル監視という歪んだ形での安否確認を生んでいるのかもしれません。同調査で、重要情報を共有済みの親子の9割以上が「安心できた」と回答している通り、真に必要なのは24時間の位置情報ではなく、有事の際の「判断基準」を共有すること。デジタルツールを監視の道具にしないためには、まずは「なんとなく」で避けてきた老後の具体的な話を言葉にしていく勇気が求められるのです。

 

[参考資料]

SOMPOひまわり生命保険株式会社/SOMPOケア株式会社が『「親のこと、知らなすぎ問題」実態調査』