大企業に勤め、平均以上の収入を得ている家庭であれば、将来のお金に困ることはないと考えているかもしれません。しかし現実には、収入が多いからこそ無意識のうちに生活水準が上がり、「高収入なのに貯蓄がない」という状況に陥るケースが多発しています。特に子どもが大学進学を迎える時期は、数百万円単位の教育費が家計に重くのしかかります。なぜ、ゆとりあるはずの家計が突然立ち行かなくなるのか。本記事では、FP事務所MoneySmith代表の吉野裕一氏が、達也さん(仮名)の事例とともに将来のライフイベントを無事に乗り切るための、現実的な家計管理のポイントを解説します。※個人の特定を避けるため、事例の一部を改変しています。
お前が思っているほど、ウチは裕福じゃないんだ…年収900万円・大企業に勤める50歳父、「私立大学のパンフレット」を広げてはしゃぐ「三男」を撃沈させた “我が家の実態”【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

大企業に就職した父、子ども3人を私立へ

首都圏在住、現在50歳の達也さん(仮名)は、大学卒業後に大企業に就職。入社当初より給与は、同世代と比較して多くもらっていました。自然と「欲しいものはすぐに買う」という生活を続けていたといいます。

 

26歳のとき、現在の妻である恵美子さん(仮名)と結婚し、3人の子宝にも恵まれました。息子たちがまだ幼いころは、それほどお金もかからず、家計にはゆとりがありました。息子たちが小学校に入ると学習塾に通わせ、中学からは私立を目指せるようにと教育費は惜しまず支出。その甲斐あって、息子たちはみな望みどおりの私立中学、私立高校へと進学することができました。

 

しかし、三男が中学に入学したころ、達也さんは恵美子さんから「貯蓄がまったくできていない」と相談を受けます。時には赤字となる月もあり、ボーナスで補填してトントンの状態。夫婦で話し合って、少しでも生活の足しになるようにと、恵美子さんもパートで働きはじめました。

 

家計の火の車が決定的になったのは、上の息子たちの大学進学です。長男は私立大学に進学したため多額の学費がかかり、次男は国立大学に合格したものの遠方だったため、家賃や生活費として毎月の仕送りが重くのしかかりました。この2人の進路によって、わずかに貯めた貯蓄はあっという間に底をついてしまったのです。

 

そんなある日のこと。三男が大学進学に向けて楽しそうにパンフレットを眺めていました。達也さんがふとその手元を覗き込むと、そこには「入学時費用200万円」という金額が記されていました。達也さんは、思わず慌てた様子でパンフレットを取り上げてしまったそうです。