大企業に勤め、平均以上の収入を得ている家庭であれば、将来のお金に困ることはないと考えているかもしれません。しかし現実には、収入が多いからこそ無意識のうちに生活水準が上がり、「高収入なのに貯蓄がない」という状況に陥るケースが多発しています。特に子どもが大学進学を迎える時期は、数百万円単位の教育費が家計に重くのしかかります。なぜ、ゆとりあるはずの家計が突然立ち行かなくなるのか。本記事では、FP事務所MoneySmith代表の吉野裕一氏が、達也さん(仮名)の事例とともに将来のライフイベントを無事に乗り切るための、現実的な家計管理のポイントを解説します。※個人の特定を避けるため、事例の一部を改変しています。
お前が思っているほど、ウチは裕福じゃないんだ…年収900万円・大企業に勤める50歳父、「私立大学のパンフレット」を広げてはしゃぐ「三男」を撃沈させた “我が家の実態”【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

「収入は増えるから大丈夫」の落とし穴とインフレの影響

今回の達也さんのケースに限らず、「年齢とともに給与が増えるからなんとかなるだろう」と楽観視してしまうのは、よくあることです。しかし、その裏で忘れてはならないのが、インフレーション(インフレ)による貨幣価値の減少です。

 

日本では長らく「失われた30年」と呼ばれ、物価上昇を意識しなくても生活できる時期が長く続きました。しかし、実際には少しずつインフレは押し寄せています。昨今の急激な物価上昇は異様に感じるかもしれませんが、本来、先進国のインフレ率は1~2%程度が国の成長を考えると適正だと考えられています。額面の給与が増えても、物価がそれ以上に上がれば、実質的な家計の余裕は失われてしまうのです。

 

また、子どもが小さいうちは必要な支出が少なくても、成長するにつれて食費や光熱費、教育費などは確実に増大していきます。

 

家計改善の第一歩は「固定費の見直し」と「将来設計」

家計の改善を図る際、食費や日用品などの流動的な支出は意識すればすぐに減らすことができます。しかし、本当に手をつけるべきは、保険や通信費、各種サブスクリプションサービスなどの「固定費」です。これらは一度契約すると自動的に引き落とされるため、支払うことに慣れてしまいがちですが、見直すことで大きな節約効果を生むことが多くあります。

 

できれば若いうちから、日々の「使うお金」と将来のための「貯めるお金」を切り分けた家計管理を行うことが大切です。子どもが生まれた時点で、進学などにより大きな資金が必要となる時期はある程度予測できます。また、自分たちの老後を迎える時期も明確です。その人生の節目になってから慌てることがないよう、早いうちからライフプランを見据えた資金計画を立てておきましょう。

 

 

 

吉野 裕一

FP事務所MoneySmith

代表