「老後資金を少しでも増やしたい」という一心でNISA口座を開設し、投資を始めた早田焦子さん(仮名・53歳)。しかし、毎日のように変動する数字に心が耐えられず、結果的に大切な貯金を減らしてしまいました。老後の不安から投資デビューを果たしたものの、予期せぬ相場の下落に直面してパニックに陥った彼女の体験は決して他人事ではありません。幅広い世代にNISAが普及する裏で起きている、投資初心者の事例を紹介します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
NISA口座開設の現状と投資リスクとの向き合い方
50代から本格的な資産形成を始める人が増える一方、早田さんのように投資デビュー直後の相場下落に耐えきれず、慌てて損切りをしてしまうケースは少なくありません。
金融庁が発表した「NISA口座の利用状況調査」によると、2025年12月末時点でNISA口座数は約2,825万口座に達し、前年比で10.4%の増加を見せています。総買付額も順調に推移しており、幅広い世代の間で非課税制度を活用して資産を守り増やす姿勢が急速に浸透していることがうかがえます。
しかし、投資には必ず価格が上下するリスクが伴います。NISAで主流となっている積立投資は、10年や20年といった長期間にわたって運用を続けることで、一時的な下落を乗り越えて資産を成長させることを前提とした手法です。日々の値動きに一喜一憂して含み損が出たタイミングで慌てて売却してしまうと、自ら損失を確定させることになってしまいます。
特に50代以降から投資を始める場合、若い世代と比べて運用できる期間が短いため、損をしたくないという心理的なプレッシャーが働きやすくなります。その結果、少しのマイナスでも冷静な判断を失いやすくなることが考えられます。
NISAを始める際は、日々の生活費や数年以内に使う予定のあるお金には手をつけず、当面使う予定のない余裕資金の範囲内で無理なく続けることが重要です。相場は上下を繰り返すものだとあらかじめ理解し、自分のリスク許容度に合った金額で、焦らずに長く付き合っていく姿勢が求められるでしょう。
[参考資料]
金融庁「NISA口座の利用状況調査(2025年12月末時点(速報値))」