(※写真はイメージです/PIXTA)
老後不安からNISAデビュー、順調に資産が増えて安心
「銀行にお金を預けているだけではダメだと聞いて焦ってしまって。よくわからないまま手を出したのが間違いでした……」
早田焦子さん(仮名・53歳)は、都内のスーパーで週に4日パートとして働きながら、会社員の夫と二人で暮らしています。二人の子どもたちはすでに独立し、自宅の住宅ローンもあと数年で完済のめどが立っていました。
これからの収入は少しずつ自分たちの老後資金に回していこうと考えていた矢先、世間ではNISAの話題が連日のように取り上げられるようになりました。パート先の休憩室でも、同世代の同僚たちがスマートフォンの画面を見せ合いながら「もうNISAの口座は作った?」「少しでも増やさないと老後が怖いよね」という会話を耳にする機会が増えたといいます。
「自分だけ取り残されているような気がして。老後まであまり時間がないので、少しでも早く、多くのお金を入れなきゃと焦っていたんです」
周りがやっているなら安全だろうと思い込んだ早田さんは、夫に相談することなく、自分名義の貯金を使って投資を始める決意をします。ネット証券で口座を開設し、SNSで一番人気だといわれていた海外の株式に投資する商品を毎月5万円ずつ積み立てる設定にしました。
最初の数カ月は順調に利益が出ており、スマートフォンで証券口座アプリを開いては少しずつ増えていく数字を見て、早田さんは安心感を得ていました。
一時的な下落でパニックになり全額売却
しかし、早田さんの平穏な日々は長くは続きませんでした。海外の経済不安をきっかけに、株価が急落する局面が訪れたのです。
連日のようにテレビのニュースで株価の大幅な値下がりが報じられ、早田さんがアプリを開くたびに資産残高は目に見えて減っていきました。数万円のプラスだったはずの画面が数日のうちにマイナスに転じ、あっという間に5万円以上の含み損を抱えることになりました。
「毎日数万円単位でお金が消えていくのを見て、老後のためのお金が全部なくなってしまうのではと、怖くなってしまいました」
少しでも残っているうちにお金を引き出さなければという衝動に駆られ、パニック状態に陥った早田さんは、これ以上損をしたくないという一心で保有していた商品をすべて売却してしまいました。結果として、十数万円の損失を確定させることになりました。
しかし皮肉なことに、早田さんがすべてを売却して数週間もすると、市場は落ち着きを取り戻して株価は下落前の水準近くまで回復していきました。
「あのまま持っていれば損しなかったのに……。毎日の値動きに一喜一憂する私には、投資はまったく向いていませんでした」
そう語る早田さんは、自らの手で減らしてしまった口座残高を見て後悔しています。