本業の傍ら副業を軌道に乗せ、30代にして資産5,000万円の「準富裕層」に到達した稼木さん(仮名・36歳)。日々の生活費は極力抑える一方で、仕事の生産性を高めるための機材や健康維持には一切の妥協を許しません。単なる節約ではなく、自身の稼ぐ力を最大化するための自己投資にはお金を惜しまず、資産形成を進めている30代男性の事例を紹介します。
テレビもソファもないが「20万円のオフィスチェア」は即決…〈年収600万円〉36歳サラリーマンが〈資産5,000万円〉準富裕層に仲間入りできたワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

徹底した生活費の削減と副業で築いた5,000万円

「平日は朝7時に起きて本業をこなし、19時に帰宅してからは夜中まで副業のウェブ制作に打ち込む毎日です。休日も基本的にはパソコンの前に座っていますね」

 

そう淡々と語る稼木さん(仮名・36歳)は、都内の家賃7万円のワンルームマンションに暮らしています。IT企業に勤める稼木さんの現在の年収は600万円ほど。ごく普通のサラリーマンですが、20代後半から始めたウェブ制作の副業が年々軌道に乗り、本業とあわせた総収入は年間1,500万円を超えています。

 

「服はシーズンごとに数着のファストファッションを着回しています。誰に見せるわけでもないですし、毎朝何を着るか選ぶ時間すらもったいないですから。見栄を張っても資産は増えません」

 

20代のころから生活水準を一切上げず、給与と副業収入の余剰分をすべてインデックス投資に回し続けた結果、副業が軌道に乗った30代から一気に資産が拡大し、36歳にして総資産は5,000万円を突破しました。

 

外食は月に数回程度で、移動も基本的には電車かバス。部屋にはテレビもソファもなく、文字通り仕事をするためだけの無駄を削ぎ落とした空間が広がっています。

稼ぐ力を維持するために自己投資は惜しまない

日々の生活費は極限まで抑える稼木さんですが、実はお金をかけるところにはとことんかけるという独自のルールを持っています。

 

「このオフィスチェアは20万円ほどしましたが、これに変えてから長時間のコーディングでもまったく腰が痛くならないんです。整体に通う時間と費用、そして集中力が途切れるロスを考えれば、信じられないくらい安い投資ですよ」

 

仕事用のパソコンやモニター、さらには有料のビジネススクールや専門書籍など、生産性に直結する機材や知識への投資は絶対にケチりません。また、「長時間座り続けるには体力が必須」と語り、週に2回通うパーソナルジムでのトレーニング代も必要経費として計上しています。稼木さんは、自己投資だと思ったものには迷わず財布を開くのです。

 

稼木さんにとっての資産形成は、ただお金を貯め込むことではありません。自分自身のスキルや健康という人的資本に投資することで、さらに仕事のパフォーマンスを上げ、稼ぐ力を高めるという好循環を生み出しているのです。

 

「自分の市場価値を上げ続けることが、結局は一番利回りのいい投資なんです」と、稼木さんは充実した表情で語ってくれました。

副業で躍進する「準富裕層」の実態

株式会社野村総合研究所が2025年に発表した推計(2023年時点のデータ)によれば、純金融資産5,000万円以上1億円未満の「準富裕層」は403.9万世帯に達していることがわかります。稼木さんのように本業と副業の掛け合わせによって収入を押し上げ、若くして準富裕層の仲間入りを果たすケースも少なくないと考えられます。

 

また、金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)のポイント」における20歳以上80歳未満を対象とした単身世帯のデータを参照すると、金融資産の平均保有額は919万円となっています。その内訳を見ると、預貯金が373万円、保険が158万円、その他金融商品が38万円であるのに対し、有価証券が349万円と、有価証券が預貯金に迫る水準にまで達していることが読み取れます。

 

終身雇用が当たり前ではなくなった現代において、会社からの給与をただ預貯金として貯め込むだけでなく、稼木さんのように積極的に有価証券を活用して資産を増やしつつ、副業や個人のスキルアップを通じて自衛しようとする意識が高まっているのかもしれません。

 

やみくもに節約して金融資産を増やすだけでなく、自らの稼ぐ力を高めるための自己投資には資金を惜しまないというメリハリのあるお金の使い方が、これからの若い世代における資産形成のひとつの正解であると推測できます。

 

[参考資料]

株式会社野村総合研究所「日本の富裕層・超富裕層の世帯数と純金融資産総額の推計(2025年)」

金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」