(※写真はイメージです/PIXTA)
土壇場まで気づけなかったワケ
実は交際中から結婚にかけて、ホナミさんがタクミさんのウソを見抜くチャンスはいくつかありました。
勤務先の名刺をみせてくれないこと。「友達の夫がY社に勤めているらしいんだけど、知ってる?」と聞いたら、言葉を濁し、すぐに話題を切り替えられたこと。入籍後の住まいは、ホナミさんのマンションに2人で住むことにしたこと。家に届いた住民税決定通知書を隠すようなそぶりをみせたこと。ふるさと納税を積極的にやらないこと……。
しかし、彼は彼で事実を隠蔽していました。まず、結婚式と親への挨拶です。「友達がいないから結婚式は恥ずかしい。その分のお金を家に回そう」というタクミさんの提案に、ホナミさんも賛同し、フォトウェディングのみで済ませました。そのため、彼の同僚や友達と会う機会はありませんでした。親への挨拶の際も、ホナミさんの父親はまったく別の業種だったため、タクミさんがもっともらしく語る仕事の話を「へえ、自分の知らない世界だ」と感心して聞くばかりでした。彼を疑うような空気にはならなかったのです。
さらに、家計管理。「生活費は別財布にしよう」と提案され、お互いの通帳や給与明細を見せ合う機会は排除されていました。
彼の生活水準が高収入に見えなかったことに対しては、「物欲がないんだ。将来のために投資や貯金に回している」と語る彼に、ホナミさんは「堅実だなあ」と逆に感心してしまいました。
「あの違和感は本物だったんだ……」
しかし、29歳という自分の年齢と「30歳になる前に結婚したい」という自分の夢、信じたかった思いから目をつぶってしまったのです。大手に勤めるホナミさんは将来的に8歳年上のタクミさんの収入を追い抜くでしょう。ウソをつかれていただけでなく、プロポーズから家の購入直前まで隠し通されていた事実に怒りが収まらず、ホナミさんは結婚後わずか3ヵ月で離婚を決意しました。
アプリ婚における「マネー・デューデリジェンス」の鉄則
ホナミさんのように「お金の確認」を怠ったまま結婚の手続きを進めてしまうケースは、非常に多く見られます。特に、アプリ婚においては注意が必要です。
学生時代の同級生や職場の同僚との結婚であれば、相手の生活水準や勤務実態は周囲の目を通じて自然と耳に入ってきます。しかし、共通の知人がいないマッチングアプリでの出会いでは、相手の自己申告を信じるしかありません。「お金目当てと思われたくない」「好きだから信じたい」そんな思いが、相手のウソを助長させてしまうことも。
また、現代の共働き夫婦に多い別財布制は、相手の経済状況がわかりづらくなり、ウソを隠しやすい環境を作ります。結婚前にはお互いの資産状況を可視化したほうがよいでしょう。
結婚は、感情の結びつきであると同時に、法的に経済をともにする契約でもあります。たった3ヵ月の結婚生活でも、引っ越し代やフォトウェディング代、そして20代最後の貴重な時間という莫大なコストをホナミさんは失いました。結婚前のシビアな「マネー・デューデリジェンス」として、ライフプランシートを一緒に作成したり、お互いの給与、貯蓄額を共有したりすることは鉄則です。