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定期購入の相談件数は高止まり傾向
良子さんのようなケースは、決して珍しいことではありません。内閣府『令和7年版 高齢社会白書』によれば、65歳以上の単独世帯は、2023年に855万世帯。10年ほどで300万世帯ほど増えています。かつての「大家族」であれば誰かが気づけたはずの異変も、ひとり暮らしでは契約・支払い・受け取りのすべての工程が本人ひとりに集中します。そのため、周囲が気づいたときには大事になっているケースが少なくありません。
実際、消費者庁『令和7年版 消費者白書』によると、通信販売の「定期購入」に関する相談件数は年間8万9,893件に達し、深刻な高止まり状態にあります。さらに驚くべきは、消費者被害・トラブルの推計額が年間で約9兆円と過去最高を更新したことです。
その内訳を見ると、健康食品や化粧品が上位を占めています。SNS広告やテレビショッピングの「初回無料」「今だけお試し」という言葉に誘われ、本人が気づかないうちに複雑な継続契約(サブスクリプション)に組み込まれてしまうケースが後を絶ちません。
支出が「月々数百円から数千円」と1回あたりの支払額が小さく分散されたことで、良子さんのように「自分はしっかりしている」という自負がある人ほど、管理能力の限界を超えていることに気づきにくいのです。
では、暮らしの中にどのような変化が現れたら注意すべきなのでしょうか。今回の中村さんのケースを振り返ると、いくつかの共通した「サイン」が見えてきます。
●未開封の同一商品が、部屋の隅や棚にたまっている
●通帳やカードの明細に、見慣れない少額の継続課金が並んでいる
●解約方法がわからず、不要な定期便が止まっていない
これらは単なる片付けの不備やうっかりミスではなく、徐々に「家計を回す力」が低下している兆しといえます。
決済手段をひとつに集約したり、契約中のサービスを親子で書き出したりといった対策は、単なる節約術ではありません。介護が必要になる前段階でこれらを整理できるかどうかが、大切な老後資産を守り抜くための大きな分岐点といえそうです。