長年会社を支え続けてきたベテラン社員が、ある日を境に「もう頑張るのはやめよう」と決意する――。特に就職氷河期を生き抜いてきた世代にとって、現在の賃金体系や評価制度には、拭いきれない不信感が漂っています。ある男性のケースを見ていきましょう。
月収45万円・50歳サラリーマン「もう、やってられない」と絶望…氷河期世代が「真面目に働くほど損をする」と会社に見切りをつける納得のワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

統計が示す世代間格差の真実

現在の日本企業、特に人手不足が深刻な物流業界などは、限られた人件費を「若手の採用」に集中させ、そのしわ寄せを40~50代のミドル世代に押し付けています。

 

厚生労働省『令和7年賃金構造基本統計調査(速報)』によれば、50~54歳の所定内給与額は38万8,800円で、前年から2.2%増。20~30代が3~4%増となっているのに対し、低調な推移となっています。一方でパーソルキャリア株式会社/Job総研『2025年 初任給実態調査』では、2025年度の初任給平均額は26.2万円となり、前年の24.1万円から2.1万円増加しています。この調査では、企業の63.6%が「初任給を引き上げた」と回答しており、若年層の確保を目的とした賃金の底上げが顕著です。

 

特に運輸・物流業において、現場の負担増と収入の乖離(かいり)は深刻です。X Mile株式会社が2025年3月に発表した『物流2024年問題から1年、現場と経営の実態調査』によると、現役ドライバーの33.6%が「2024年問題以降、収入が減少した」と回答しています。また、残業時間が「月10時間未満」という回答が21.8%で最多となっており、労働時間の抑制が賃金の減少に直結している実態が明らかになりました。

 

これらの数値は、企業が50代の昇給を停止させることで人件費の総額を抑制し、その分を若年層の給与水準引き上げに割り当てている事実を示唆しています。氷河期世代が若い時期に享受できなかった高い賃金上昇が、今の若年層には入社時から適用される一方で、50代の賃金は固定されています。この所得の不均衡が、現場を支える50代の労働意欲を低下させる大きな要因となっています。

 

[参考資料]

パーソルキャリア株式会社/Job総研『2025年 初任給実態調査』

X Mile株式会社『クロスワークしごと白書2025』