高齢者向けの住まいには多くの選択肢があります。しかし注意しなければならないのが、多額の一時金を支払い、コンシェルジュやクリニックが併設された老後の住まいを手に入れたとしても、そのサービスが「一生続く」保証はないという点です。本記事では、FPの川淵ゆかり氏のもとへ寄せられたAさんの相談事例から、社会情勢の変化に翻弄されるシニア住まいの実態に迫ります。※事例は、プライバシーのため一部脚色して記事化したものです。
「老後の一番の楽しみを取り上げられました…」資産2億円・亡夫の遺族年金を受け取る77歳母。3,000万円で“シニア向けマンション”入居も…施設から一方的に通知された〈残酷な宣告〉 (※写真はイメージです/PIXTA)

“終の棲家”と決めて入居したシニア向けマンション

77歳のAさんは、5年前に元会社役員だった夫を亡くしました。夫が残した資産や保険金などは約2億円にのぼり、遺族年金もあるため、郊外の一軒家に一人、悠々自適の生活を送るには十分すぎる状況でした。

 

ある日、一人暮らしを心配した離れて暮らす3人の子どもたちがシニア向けマンションへの入居を勧めてきます。Aさんは内心、「亭主関白だった夫から解放され、まだまだ元気だし。いまは一人暮らしを満喫できているんだけどな……」と思いましたが、子どもたちに余計な心配をかけたくないと、入居を決意しました。そして、“安心して暮らせる終の棲家”を求めて、コンシェルジュ付きの分譲型シニア向けマンションの体験宿泊へ足を運ぶことに。

 

子どもたちが勧めてくれた施設は、「こんな贅沢な場所、亡くなった夫に申し訳ない」と少し引け目を感じるほどすばらしいところでした。体験宿泊で出された食事は大満足で、館内にはカラオケルームに図書室、ジムやプール、温泉などの充実した設備もあります。さらにはクリニックも併設されていることが非常に心強く感じました。

 

約3,000万円の入居費用のほか、毎月の管理費や修繕積立金等の費用で約5万円、加えて一定額の食費等がかかります。「見守りサービスも充実していますし、安心してお過ごしできますよ」との施設職員の説明に、Aさんは「ここなら一人でも寂しくないし、静かに暮らせる理想の終の棲家だわ!」と入居を決めた次第です。