2026年3月9日、週明けの日本市場を襲ったのは、文字どおりの「激震」でした。イラン情勢の緊迫化に伴うホルムズ海峡の封鎖。これを受け、原油価格の暴騰から日経平均株価は一時4,200円超という歴史的な急落をみせ、終値は、前週末比2,892円12銭安の5万2,728円72銭となり、過去3番目の下げ幅を記録しました。為替は1ドル=158円台まで円安が加速。さらに債券価格も下落するという、「トリプル安」に見舞われました。この急変は、家計にも“数ヵ月後に確実に響く”性質を持っています。イラン情勢を巡り紛争の長期化が警戒されるなか、私たちの家計にどのような影響を与えるのか。いまなにが起きているのか、そして私たちはどう備えるべきか。FPの川淵ゆかり氏が紐解いていきます。
【イラン攻撃】日経平均過去3番目の2,892円安を記録。3~4ヵ月後に「本格化する物価高」、原油暴騰で夏の電気代は過去最高に? (※写真はイメージです/PIXTA)

企業の悲鳴:断たれる「エネルギーの生命線」

物価は企業の収益構造から高くなっていきますので、まずは企業にどんな影響があるのかみてみましょう。

 

エネルギー供給の途絶

日本は原油の約85%をホルムズ海峡経由で輸入しており、このルートが遮断されればエネルギー供給に重大な支障が出ます。たとえ備蓄があるとはいえ、それは一時的なものです。

 

物流コストの増大

原油価格の高騰は、ガソリンや軽油の価格を直撃します。燃料費の高騰が物流コストを押し上げ、あらゆる商品の価格に転嫁されます。

 

企業活動への打撃

製造業を中心に企業のコスト負担が急増し、価格転嫁が難しい中小企業などは収益が悪化する恐れがあります。

 

ホルムズ海峡は世界の石油・LNG輸送の約2~3割が通過する大動脈であり、日本にとってはまさに「生命線」です。
上記のようなコストアップが商品価格に転嫁されていき、物価高につながっていくのです。

家計のダブルパンチ:今年の夏の支出増と、手取りの減少

原油高がガソリン価格に直接影響することは避けられません。

 

さらに日本はエネルギー資源の多くを輸入に頼っているため、国際的な原油価格の変動の影響は電気代やガス代にまでおよびます。国際的な原油価格上昇が家庭用の電気代・ガス代の上昇に繋がるまでには、通常3~4ヵ月の時間を要します。3〜4ヵ月後にその影響が本格化するとなると、夏に苦しい時期がやってくるということです。つまり、エアコンなしでは過ごせない夏の電力需要が高まる時期と重なるため、家計への負担は一層大きくなると予想されます。

 

また、円安も進んでいるため、食料品や生活必需品のさらなる値上げは避けられない状況になりました。

 

そして、勤務する企業の業績が悪化となれば、ボーナスカットなど収入への影響も考えられ、家計は“支出増と収入減”といったダブルパンチを受けることも十分に考えられるでしょう。