「親が子を支えるのは当たり前」という思いが、いつしか家族全員の首を絞めてしまう――。長年、ひきこもりや無業状態にある子を抱える世帯において、親の高齢化と経済的な困窮が重なる「8050問題」。ある母親が下した決断から、解決のヒントを探ります。
もうお母さんを辞めます…年金月12万円の75歳母、50歳息子に10年で600万円を渡した末の決断 (※写真はイメージです/PIXTA)

8050問題の陰で見落とされる「親の選択」

内閣府『令和5年版 高齢社会白書』によると、65歳以上の高齢者がいる世帯のうち、「未婚の子と同居」している世帯は約300万世帯にのぼります。さらに総務省『令和4年就業構造基本調査』では、35~54歳の無業者は約77万人。そのうち求職活動をしていない人も相当数存在していると考えられます。

 

いわゆる8050問題は、80代の親と50代の子の組み合わせが典型とされますが、厚生労働省の調査資料では、親世代が70代前半から半ばに差し掛かる段階で、家計・健康両面の不安が急増することが示されています。

 

厚生労働省『令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、老齢基礎年金(国民年金)の平均月額は5万7700円(25年以上の受給者)、老齢厚生年金は15万289円。一方で、和子さんのように月12万円の年金に満たない人は、老齢厚生年金受給者の4割弱、数にすると600万人を超えます。

 

そこから毎月5万円を渡すということは、可処分所得の半分近くを子に充てている計算になります。親が支え続ける構図は、極めてリスクが高いといえるのです。

 

8050問題は「子をどう就労させるか」という議論に偏りがちです。しかし、親が元気なうちに住まいを整理し、資金の流れを明確にし、支援を縮小するのも解決への第一歩。子を突き放すことに躊躇してしまいそうですが、これは親子共倒れにならないための「リスク管理」なのです。