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高齢の親の「管理」…心理的虐待かも
内閣府「高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査(令和3年度)」によれば、60歳以上の約8割が自身の健康状態について「良い」「まあ良い」と回答しています。 多くの高齢者が、自らをまだ十分に自立した存在だと認識していることがうかがえます。
一方で、子や孫の世代には「高齢者はいずれ衰えていく存在であり、早めに支えるべきだ」という意識が強くあります。 その思い自体は決して悪いものではありません。 ただ、本人の意向を確認しないまま生活や財産管理に踏み込む「先回り」が、かえって摩擦を生むこともあります。 自立意識と保護意識のズレによって、家族間に緊張が生まれるのです。
特に資産を持つ高齢者に対しては、家族は「資産を守るために、本人の判断力を管理しなければならない」という防衛本能が働きがちです。 高齢者の意思決定において、家族が「本人の希望」よりも「安全・管理」を優先してしまうことは、決して珍しいことではありません。
しかし、こうした過度な介入が続けば、本人の尊厳や自己決定権を損なう恐れがあります。 厚生労働省が公表する高齢者虐待の統計では、身体的暴力だけでなく、暴言や無視、行動の過度な制限といった「心理的虐待」も深刻な問題として位置づけられています。 善意から始まった管理が、本人にとっては強い心理的圧力として受け止められる可能性も否定できません。
「良かれと思って」という善意の裏側にある、無意識の蔑み。 それが、現役時代を必死に生き抜き、今なお自立を誇りとする高齢者から、生きる気力を奪っているのかもしれないのです。