親子関係が、お金の問題一つで音を立てて崩れることがあります。特に、親が資産を持っている、あるいは「裕福そうにみえる」場合、成人した子どもからの経済的な依存は、外からはみえない深刻な家庭内トラブルに発展しがちです。本記事では、FPの川淵ゆかり氏のもとへ寄せられた相談事例をもとに、孫への経済援助を巡る、自分の老後を守るための境界線の引き方を考えます。※事例は、プライバシーのため一部脚色して記事化したものです。
「親子でも、さすがに許せない」遺族年金の中高齢寡婦加算が終わり、年金10万円になった65歳母…月収50万円・40歳長男の〈まさかの発言〉に腸が煮えくり返り、LINEで絶縁【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

東京に出た「おねだり息子」への違和感

Aさんには40歳になる息子が一人います。地元の高校を卒業すると、本人の希望で東京の私立大学に進学。そのまま都内で就職して家庭を持ち、いまでは9歳になる娘もいます。現在の月収は50万円程度です。

 

これまでは2年に1度程度、孫娘を連れて帰省していたものの、孫が大きくなるにつれてその頻度も減りました。最近では、息子とはたまにLINEでお互いの近況を報告し合う程度の距離感になっていました。

 

実はAさん、一人息子でありながら、亡き夫とは性格の違うこの息子のことを、心の底から好きになることはできずにいました。子どものころからわがままで、おねだりばかりの息子。大人になってからも、父親から相続した土地をすぐに売却して自宅マンションの頭金にしたり、たまに帰省すればAさんが所有している分の土地に対しても「アパートを建てて生活費の足しにしたらどう?」などと口を出してきたりするのです。

 

一人暮らしのAさんは「自分が寝たきりになってもこの息子にだけは頼れない」と、万が一のときに備えて質素な生活を送り、現金や引き継いだ土地を守ってきました。そんなある日、息子がフラッと一人で帰省して、これまでにない規模の“おねだり”をしてきたのです。

40歳息子のありえない提案

「実はさぁ、娘が『私立中学を受験したい』って言い出してさぁ」

 

久しぶりに顔をみせたかと思えば、息子はいきなり切り出しました。

「『友達が受験するから自分も受けたい』っていうんだよ。嫁も『大学受験に有利になるから』ってノリノリなんだ。だけどさ、塾代だけでもけっこうな金額になるし、住宅ローンも金利が上がってるでしょ。俺も40過ぎちゃったし、給料ももうあんまり上がらないと思うんだよね。娘が中学に入るころにはどうなってるかわかんないし、困ってるんだよ」

 

困っているのは、息子のいっていることがさっぱりわからないAさんのほうです。地方から出たことのない高齢のAさんは、なぜ女の子に中学校から私立に行かせないといけないのかがわかりません。聞けば、中学受験はかなり合格するのが難しく、いまのうちから塾に通って猛勉強しないと駄目だからお金がかかるそうです。たしかに「孫娘は勉強ができる」と聞いてはいましたが、Aさんからみると、「この息子の子どもがそんな難しい試験に受かるのか?」と疑問しかありません。

 

「落ちちゃったらその塾代は無駄になるんだよね」「あんたの収入に見合った学校に行かせればいいじゃないか」といってはみましたが、嫁になにかいわれてやってきたのか、引く様子はありません。