親子関係が、お金の問題一つで音を立てて崩れることがあります。特に、親が資産を持っている、あるいは「裕福そうにみえる」場合、成人した子どもからの経済的な依存は、外からはみえない深刻な家庭内トラブルに発展しがちです。本記事では、FPの川淵ゆかり氏のもとへ寄せられた相談事例をもとに、孫への経済援助を巡る、自分の老後を守るための境界線の引き方を考えます。※事例は、プライバシーのため一部脚色して記事化したものです。
「親子でも、さすがに許せない」遺族年金の中高齢寡婦加算が終わり、年金10万円になった65歳母…月収50万円・40歳長男の〈まさかの発言〉に腸が煮えくり返り、LINEで絶縁【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

親子でも、さすがに許せなかったひと言

「そんな大きなお金はすぐには用意できないよ」と冷たくあしらうと、息子はあっけらかんと言い放ちました。

 

「母さんの持っている土地とか現金とか、生前贈与してもらえないかなぁ。どうせいずれかは僕のものになるし、いまもらっておいたほうがお金が活かせると思うんだよね」

 

Aさんは腸が煮えくり返りました。

 

「私も孫娘はかわいいよ。だからピアニストになるわけでもないのにピアノも買ってあげたし、小学校に上がるときはランドセルだって買ってあげたじゃないか。なのにあんたはお父さんが入院してもほとんど見舞いにも来なかったし、これまで1円だって家にお金を入れたこともないじゃないか!」

 

母親のみたことのない剣幕に、息子は這う這うの体で逃げ出しましたが、息子が帰ったあともAさんの怒りは収まりません。追い打ちのLINEを送りました。

 

「私はあなたたちの世話にはならないし、なったこともない。私の目の黒いうちは大事な土地は手を付けさせないからね! もう40なんだから自分の家庭は自分で守りなさい。おねだり息子はもういらないよ」

 

それ以降、Aさんは息子からのメッセージをみることはありません。

老後資金は後半こそが要

Aさんは息子に毅然とした態度を取りましたが、60代・70代はまだ元気でお金にも多少の余裕がある時期のため、ついつい孫などにお金を使ってしまいがちです。ですが、老後は後半が本番です。高齢者が一度健康を害すると、医療費や介護費がどれだけ掛かってくるか、先がみえないのが怖いところなのです。

 

親子は親子ですから縁は簡単に切れるものではないでしょう。しかし、親子だからといってどちらか一方の負担によって家計を成り立たせるものではありません。いまの時代、家計についてはそれぞれの管理の中でやっていく必要があります。

 

なお、Aさんにその後の「お孫さんの受験勉強」について伺ってみました。

 

「知らないわよ。だけどピアノだって途中で投げ出したんだから、受験ももう諦めたころじゃないかしら」と笑って答えてくれました。

 

 

川淵 ゆかり

川淵ゆかり事務所

代表