(※写真はイメージです/PIXTA)
家族が陥りやすい過干渉のリスクと、本人の尊厳を守るための境界線
90代の一人暮らしの高齢女性がいました。自由気ままに1人で過ごしたいと思っている人でした。好きなように食べて生活したい。サービスとしては、訪問看護が週2日、訪問介護(ヘルパー)を週3日利用していました。本人はそれぐらいのペースでいいし、もし悪くなっていったらもうちょっと来てもらえればいい。それでもこのままがいいし、娘もつかず離れずでいい、という思いでした。
しかし娘さんはお母さんのことを心配しすぎて、食べ物なども、「あの栄養が足りないからこれを食べて」と言って、いろいろな食べ物を持って行きます。「1人になる時間が多いと心配という理由で、デイサービスに行かせたい」と言
い出しましたが、本人は行きたがりません。本人は気ままでいいと言っているし、今のペースでいいと言っているので、娘さんからしたらそんなに楽なことはないと思います。自分のことは自分でできており、大きな介護が必要なわけではなかったのです。
しかし娘さんからすると、「心配で仕方がありませんし、母親は私の言うことを聞かないので、本人を説得させてください」と言ってきます。「本人にとって嫌なことになるので、説得させるのは難しいと思う」と娘さんにお伝えしても、理解してくれません。本人も、やはり嫌だと言います。娘さんは「あなた(ケアマネジャー)は母に野垂れ死にさせろと言っていることと一緒ですよ」と言われました。
「そうではなく、野垂れ死にではありません。食欲もありますし、今は好きなものを、本人が食べたいものを食べればいいのではないでしょうか?」と言っても、娘さんは「私はこんなに母のことを思っているのに、なぜ母は拒絶するのだろう」と言います。
「あなた(ケアマネジャー)は分かっていない、あなたのやっていることは野垂れ死にさせること。あなたはもう少し勉強しなさい」と言われ、結局、ケアマネジャー交代ということになりました。自由や尊厳を優先するのであればある程度のリスクや危険を伴いますし、安全を求めるのであれば管理が伴います。娘さんの親を思うお気持ちも十分理解できるのですが、思いが強すぎると、強制や管理になってしまい、1番大切な本人の意思は埋もれてしまいます。