人生は選択の連続です。特に親の晩年における選択は、やり直しがききません。二者択一の選択を迫られた際、多くの人は「家族の負担」や「本人の過去の言動」を頼りに決断を下します。本記事では、西川満則氏、福村雄一氏、大城京子氏、小島秀樹氏共著の書籍『終活の落とし穴』(日本経済新聞出版)より、認知症に罹患した70代女性の事例から、終活で家族に共有しておくべき「本人の意思」の重要性について解説します。
「母は早く家に帰りたがっています」自宅での看取りを覚悟した家族だったが…食事をとらなくなった認知症の70代母が、「まさかの復活」を遂げた理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

もし家族が同じような状況になったら…

この事例を振り返ってみた時に考えさせられるのは、医学的判断の妥当性です。大方の医療ケアチームの判断としては、この状態では、再び食べられるようにはならないと見えます。そして本人に自宅に戻りたい意思があり、家族も自宅で看取りたいと言っているのだから、それに沿えばいいのではないか、という判断になりがちです。

 

しかし一部の医療者からの、「よくなる可能性があるのなら、もう少し頑張ってみてもよいのでは」といった提案で、本人が嫌がらない範囲での治療を試みたところ、それによって回復し、退院に至る結果となったのです。主治医の言うことを鵜呑みにしない、それが、この事例の裏の意味です。

 

ただ、ここまで丁寧な医療ケアチームカンファレンスが行われている医療機関ばかりではないでしょう。だから、もしあなたの家族がこうした状況に直面したら、医師にこう聞いてください。「医師団の意見は一致しているのですか?」あるいは「医療ケアチームの医療判断は一致しているのですか?」と。チームカンファレンスが行われていれば、たとえ、医療者の意見が割れている場合でも、医学的な判断の妥当性は担保されていると思ってよいでしょう。

 

 

西川 満則 

福村 雄一 

大城 京子 

小島 秀樹