(※写真はイメージです/PIXTA)
施設費用が払えないのに「実家が売れない」
先ほどは、最も身近な例として預貯金を挙げました。では不動産はどうでしょうか。特に長年暮らしている自宅の場合、家族の中では、その土地や家は「家族みんなのもの」という認識かもしれません。でも実際は、その土地家屋には名義があり、売却には当然、持ち主の意思表示が必要です。
例えば、父名義の実家を売却するとします。手続きの際には当然、本人が売却する意思を持っているかどうかが見られています。その会話の中で、本人が不動産のことを認識していない、マンションなのに戸建ての話をしている、そもそも自分の持ち物かどうかが分かっていない、といったことが明らかになったらどうでしょう。「本人の意思が確認できない」となり、売却はできません。いくら「施設入居のために売るのです。売却は本人のためです」などとその場で主張したとしても、です。
本人の認知機能が衰えているので、ほかの家族が代理で売却の意思表示をする、といったことは当然、許されません。
認知症の親を持つ子が陥る、不動産売却の“順序”の落とし穴
高齢の親の自宅を売却するのは、「施設入居のため」など、先立つものが必要になるという理由が多いと推測します。しかし前述のように、財産はあるのに現金化できないケースも起きています。
さらに深刻な例もあります。通常は、施設入居を考えているので自宅を売却し、その資金で施設に入るという順番です。しかし、「すでに施設に入ってしまっているが、予想外に費用がかかってしまった。そこで自宅売却を検討しはじめる」というケースです。こうした依頼は、実は多いのです。
しかし入居から年月を経ての売却となると、そのときには本人の判断力が低下していることが多いのです。その結果、お金の必要性は高いのにもかかわらず、売却ができないということが起きています。このように、順番を逆にして
しまうことが、落とし穴だと思います。
西川 満則
福村 雄一
大城 京子
小島 秀樹