「Z世代をはじめとする最近の若手は、会社が決めたことに従わない」「制度を作っても、社員はどこか他人事で冷めている」もしそう感じるなら、それは彼らがわがままだからではなく、その決定プロセスに自分がいなかったからかもしれません。多くの企業では、評価制度や育成方針は経営陣や人事部が決め、現場には決定事項として降りてきます。しかし、これでは社員の心は離れる一方です。では、あえて未完成の状態で見せ、社員をその話し合いの場に招き入れたらどうなるか? 本記事では、上林周平氏の著書『部下の心を動かすリーダーがやっていること』(アスコム)より、組織へのエンゲージメントを高める「参加の場」の作り方について解説します。
「基本給を高く設定するか」「若手のうちから成果主義にするか」…“Z世代”に評価制度の議論に参加させた〈驚きの効果〉 (※写真はイメージです/PIXTA)

職場に無関心なメンバーから意見を引き出すための工夫

意見を出し合う場で、「意見を出して」と促しても、うつむいて何も言わない……。そんな一見、「無関心に見えるメンバー」に対して、どう意見を引き出すかは多くの現場で共通する悩みかと思います。ただ実際は、無関心なのではなく、単に「どう話せばいいのかわからない」だけというケースがほとんどです。ここでは、現場で効果のあった「意見を引き出すための設計」を、3つのステップでご紹介します。

 

1.クローズドクエスチョン→オープンクエスチョンの流れを活用する

最初から「どう思う?」と聞かれると、多くの人が構えてしまいます。特に無関心に見える人ほど、突然のオープンな問いに戸惑いがちです。そこでまずは、選択肢つきのクローズドクエスチョンで思考のスイッチを入れます。

 

「職場の雰囲気は100点満点でどれくらいですか」

「この1年間のチーム連携、5段階でどれくらいですか」

 

といった答えやすい問いを入口にすると、多くの人が自然に考え始めます。そのうえで、

 

「なぜその点数にしたのですか」

「あと少し良くするなら、どこを変えたいですか」

 

とオープンクエスチョンに移ることで、徐々に自分の意見を言いやすくなっていきます。

 

2.最初の発表者を戦略的に選ぶ

場の空気は、最初の発言者によって大きく左右されます。上下関係ではなく、話しやすく前向きな雰囲気をもつメンバーに最初を任せることで、場の温度が一気に上がります。そして、その発言に対しては、否定せず受け止める姿勢が重要です。「なるほど、そういう見方もありますね」「共有してくれてありがとうございます」といった反応があるだけで、その場は「言って大丈夫」という安全な空気になります。こうした安心感は、その後の意見の出やすさを大きく左右します。

 

3.大人数→少人数→大人数の往復

多くの人にとって、大人数の前でいきなり話すのは高いハードルです。そこで、全体でテーマを共有したあとに、二人組や三人組など少人数で話し合う時間をつくります。

 

少人数の場でいったん言葉にしてみることで、口を開くハードルが驚くほど下がります。そのあとで全体に戻して「少人数で出た意見」を共有してもらうと、普段発言しない人でも自然と声を出しやすくなります。

 

出所:
[図表]メンバーから意見を引き出す工夫(まとめ) 出所:『部下の心を動かすリーダーがやっていること』(アスコム)

 

 

上林 周平

株式会社NEWONE

代表取締役