現代の日本では、公的年金だけでゆとりある生活を送ることは容易ではありません。総務省の家計調査でも高齢夫婦世帯の不足額がたびたび話題になりますが、経済的な理由だけでなく「社会との繋がり」を求めて仕事をしている高齢者が増えています。異色の環境でセカンドキャリアを切り拓いたある男性のケースから、シニア世代が自分らしく輝き続けるためのヒントを探っていきます。
奇跡のような日々でした⋯〈年金月17万円・70歳男性〉が再就職。若者だらけの職場でも、笑顔で働き続けられたワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

高齢者の就業意欲と「働く理由」の多様化

内閣府『令和7年版高齢社会白書』によると、全国の60歳以上の男女において、定期的に収入を伴う仕事をしている人は35.9%。不定期も含めると4割の高齢者が働いて収入を得ています。

 

さらに、収入を伴う仕事をしている主な理由としては、「収入のため」(55.1%)に続き、「働くのは体によいから、老化を防ぐから」が20.1%、「自分の知識・能力を生かせるから」が12.4%と続きます。これらの結果から、高齢者の就労は単なる金銭目的だけでなく、健康の維持や自己実現といった多面的な意義を持つものとして捉えられていることがうかがえます。

 

ちなみに、株式会社日本総合研究所『高齢者の生きがい等意識調査2024』によると、「現在の楽しみや喜びを感じること」に関して、「国内旅行(宿泊)」「親しい人達との団らん」を挙げる回答が多く、特に男性は「国内旅行(宿泊)」、女性は「親しい人達との団らん」を楽しみにしている割合が高いことがわかりました。

 

【高齢者に聞いた「現在の楽しみや喜びを感じること」は?】

国内旅行(宿泊):37.3%

家族や友人など、親しい人との団らん:37.1%

読書・音楽鑑賞:20.5%

家庭菜園・園芸・ガーデニング:18.5%

日帰り観光:18.2%

1時間以上の運動・スポーツ・武道:17.3%

外食:16.1%

インターネットショッピング:13.8%

 

この問いについて、「仕事(お金を得ている就労)」は5.1%でした。数値としては少ないものの、年齢を重ねてもなお、仕事に対して情熱を燃やしている人は確実に存在します。

 

かつては「定年=隠居」が定番でしたが、現在は「いかに主体的に社会と関わり、自身の価値を再確認するか」が、高齢期の精神的な満足度(QOL)を向上させる重要な要素となっています。また人手不足が深刻化するなか、企業側もシニア層が持つ長年の経験と学習意欲を、組織を支える貴重なリソースとして再評価し始めています。

 

斎藤さんのように「70代で正社員として働く」という選択肢は、今後ますます一般的になっていくのかもしれません。