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バイトに明け暮れた学生時代、無理して短期留学をするも…
無事に専門学校へ進学したAさんだが、その生活は決して楽なものではなかった。一括で借りた120万円は、アパートの家賃を1年分前払いすることで割安になる契約に充てられ、ほぼすべてがそこで消えた。水道光熱費込みの物件だったため固定費は抑えられたが、親からの仕送りは一切ない。月10万円の奨学金は学費に充て、交通費や書籍代、食費といった日々の生活費は、週3日の飲食店アルバイトで賄うことにした。親に頼らず自力で学び続ける、綱渡りのような学生生活の始まりである。
その後、Aさんは貯金と奨学金の一部を使い、短期留学を決断する。周囲の学生が長期留学や海外就職を目指すなか、資金不足から選べたのは3ヵ月間、現地企業でインターンシップとして働くという形だけだった。
「同じ学校に通っているのに、経験できることの差を強く感じました。お金がないから仕方ないとわかっていても、正直つらかったです」
帰国後は、飲食店のほかにも派遣のイベントスタッフや家電量販店での接客・販売など、アルバイトを増やして学費や生活費を工面した。就職活動の期間は思うようにシフトに入れず、生活が苦しい時期が続いたという。
なんとか卒業を迎えたAさんは、専門学校での学びを活かすべく、グローバル事業を展開するベンチャー企業に就職した。奨学金の返済額は毎月約1万7,000円。負担を抑えるために返済額を最小に設定した結果、返済期間は20年以上におよび、40歳を過ぎても返済が続く計画となった。
奨学金480万円の返済中に「リーマン・ショックで無職」
そこへ追い打ちをかけたのが、就職2年目に起きたリーマン・ショックだ。勤務先の経営が悪化し、Aさんは退職を余儀なくされた。転職活動中の不安定な生活のなか、社会保険料や住民税の支払いが重くのしかかり、当然、奨学金の返済も止まらない。
「早く就職しなければという焦りと支払いに追われる日々で、精神的にも肉体的にも一番つらい時期でした」
現在はメーカーの営業職として働くAさん。キャリアを重ねるにつれて生活は徐々に安定してきた。しかし、奨学金の返済はいまも続いている。奨学金があったからこそ関心のある分野について学びを深め、視野を広げることができたのは事実だ。一方で、「もし返済がなければ、海外で就職したり、学び直したりと、もっと挑戦できたのではないか」という思いが、いまも心のどこかに残っているという。