プレイヤーとして優秀だった人が、マネージャーになった途端に失敗する――。これはビジネスの現場でよくあるケースです。本記事では、上林周平氏の著書『部下の心を動かすリーダーがやっていること』(アスコム)より、同氏がプライドを粉々にされた挫折と、社員の2割が辞めていく組織崩壊の危機、そこから学んだ教訓を解説します。
新卒で大手外資系コンサルへ入社、朝まで働き成果を出すのが常識。「自分はできる」と自負も…転職先のベンチャー企業、社員の前で公然と受けた〈屈辱〉 (※写真はイメージです/PIXTA)

「自分はできる」「部下はできない」とレッテルを貼っていたが…

「お前のマネジメントはダメだ」と突き付けられたとき、正直に言えば屈辱でした。しかし、メンバーがついてこない、人が辞めていく、明らかに組織が停滞しているという事実からは逃れられず、私のちっぽけなプライドは崩れ去りました。

 

それまで「自分はできる」「部下はできない」と成果でレッテル貼りをしてきた自分が、実は「全然できないやつ」だった。自分が正解だと思い込んでいたものは、決して正解なんかじゃなかった。私はどうしようもなく自分の弱さと向き合わざるを得なくなり、心が折れかけました。けれど同時に、ある当たり前のことに気づきました。

 

自分の正解と他人の正解は違う。価値観も経験も人はそれぞれ大切なものを持っている。まったく同じ人生を生きている人なんて一人もいない。自分のことを理解されないことは、こんなにも苦しい。一言でいえば、共に働く仲間も自分も人間なんだ、という至極当たり前の事実を、ようやく理解できたのです。そして自分も部下もそれぞれ人間だからこそ、他者の能力や知識、感性に助けられて一人ではできない仕事ができることを、あらためて思い知りました。

 

私は「成果」というほんの一面だけを見て部下を認めようとしませんでした。それなのに「俺を認めてくれ」「俺を理解してくれ」と叫んでいるだけでした。そこからです。マネジメントに対する発想が大きく変わったのは。

 

人は、理屈や立場だけでは動きません。人は、説き伏せて動かすのではなく、共感で動いてもらうのです。もちろん、理屈や論理で押し通せるときもあるでしょう。コンサル時代はチームで成果を出すよりも、個人で成果を追求するのが得意な“似た者同士”がたまたま集まっていただけでした。しかし私が転職したベンチャーのような会社では、相手の気持ちを置き去りにしたマネジメントは、通用しませんでした。

 

周りの人を活かすこと。メンバーの声を聞くこと。弱音を受け止めること。共感のマネジメントを大事にしたとき、初めてチームは動き出しました。

 

 

上林 周平

株式会社NEWONE

代表取締役