若くして掴んだ成功は、4,000万円の負債と共に泡と消えました。倒産後、のちにわかさ生活の創業者となる⻆谷建耀知氏を待っていたのは、妻がヤクルトレディとして家計を支える横で、「桃太郎電鉄」の100年モードをプレイし続ける無職生活……。しかし、再起のチャンスを虎視眈々と狙っていた彼は、ついに「チャンスの予感」に出会います。借金地獄と無職生活の果てに見つけた、商売の再出発点とは。同氏の著書『誰でもできる! 結果に繋がる超・マーケティング思考 すべての答えは個客の中にある』(アスコム)より、みていきましょう。
「誰もが知るCM」の100億円企業の創業者だが…過去には「31歳で借金4000万」、生活はヤクルトレディの妻頼り。消費者金融で30万円借りて自己啓発合宿へ行き、家に帰れば「桃鉄」に耽った無職の1年間 (※写真はイメージです/PIXTA)

倒産後のプータロー生活

実はこの時期、岡山から兵庫に拠点を移したわたしは1年間ほど無職、当時でいう「プータロー」をしていました。当時の妻が「ヤクルトレディ」をしながら生活を支えてくれている中、わたしは定職に就かず、日雇いの仕事や、前職の関係で「この商品のことを教えてほしい」という突発的な講演の仕事、時にはお祭りの屋台、いわゆる「テキ屋」のバイトをしたりもしていました。それ以外の時間はジグソーパズルと「桃太郎電鉄」というゲームばかりしていまし
た。

 

少し余談になりますが、「桃太郎電鉄」というゲームを知っていますか? プレイヤーは社長となり、鉄道を使って日本中を旅するスゴロクゲームです。止まったマスごとにイベントがあり、お金が貰えたり、逆にお金を取られたり。そして、このゲームの面白いところが「お金が貯まったら、止まったエリアの会社や物件、お店を買うことができる」というところです。

 

ゲームは「1ターンで1ヵ月経過する」というルールで、毎年1回、3月になると「決算」があります。その決算の時「持っている会社や物件、お店によって追加でお金が貰える」のです。要は投資と配当金です。このゲームにハマっていました。ご存じの方には分かると思いますが、わたしは1人で「100年モード」をプレイしたりしていました。1人でも30時間、40時間ほど時間がかかるモードです。そしてこの経験が、後年、わかさ生活を創業してから大変役に立ちました。

 

「桃太郎電鉄」では、自分が持っている物件に対して「台風が来てお店の売上が落ちた」、「こんな事情で業績が悪かった」、「この地域特有の、こんなことが起こった」というイベントが起こるのです。これによって、わたしは「日本全国の特徴、特性」、「全国の状況に気を配る感覚」、「投資の感覚」を遊びながら身に付けていったのです。話を戻します。

 

このように、プータローとして日雇いの仕事やゲームをしながら過ごしていた時期でも、わたしの感覚としては絶望や失意、無気力といったものはなく「チャンスのタイミング」を窺っていました。なんといっても4000万円も借金、負債があるのです。普通に仕事をしていても返せませんし、前の会社では失敗をしてしまいましたが、ビジネスの本質、お客さんに喜んでもらう方法、そしてそれを続けていれば売上が伸びるという体験をしていました。そして、大きな失敗も学びました。

 

毎日、チャンスを探していました。闇雲に何かをする、ただ体を動かして労働する、ではなく「ここで、これなら、い
ける」と直感できるものを探していました。実はこの時期、会計士の先生に薦めてもらいナポレオン・ヒルの成功哲学を学ぶ合宿セミナーに参加しました。9泊10日で30万円。はじめて告白しますが、まったくお金が無かったのでサラ金で30万円を借りて参加しました。

 

毎朝5時に起き、終わるのは24時。24時に終わるのですが、翌日までの「宿題」も出るためそれをやってから眠る。まったく眠れた感覚が無く、体感的には「1泊10日」の合宿でした。最後の方は、壁がぐにゃりと歪みこちらに向かって迫ってくるような幻覚に襲われました。二度とあの合宿には参加したくありません。そのような自己啓発合宿にも参加しましたが、終わってみたらまたプータロー、日雇いの仕事、ゲーム、ジグソーパズルをしながら過ごす日々です。