若くして掴んだ成功は、4,000万円の負債と共に泡と消えました。倒産後、のちにわかさ生活の創業者となる⻆谷建耀知氏を待っていたのは、妻がヤクルトレディとして家計を支える横で、「桃太郎電鉄」の100年モードをプレイし続ける無職生活……。しかし、再起のチャンスを虎視眈々と狙っていた彼は、ついに「チャンスの予感」に出会います。借金地獄と無職生活の果てに見つけた、商売の再出発点とは。同氏の著書『誰でもできる! 結果に繋がる超・マーケティング思考 すべての答えは個客の中にある』(アスコム)より、みていきましょう。
「誰もが知るCM」の100億円企業の創業者だが…過去には「31歳で借金4000万」、生活はヤクルトレディの妻頼り。消費者金融で30万円借りて自己啓発合宿へ行き、家に帰れば「桃鉄」に耽った無職の1年間 (※写真はイメージです/PIXTA)

借金4000万円を背負って倒産、それでも「自己破産はしない」

1回は売れるのです。お店のことを好きでいてくれるお客さんたちですから、わたし達がお店に置いていた、すなわち「オススメ」していた商品は好意的に買ってくれました。

 

しかし、「2回目」がなくなったのです。切り替えた商品が粗悪品だったり、ニセモノ商品だったりしたわけではありません。普通の商品でした。ですが、「良くも悪くも」普通の商品だったのです。それまで選んでいたものは、少なくともわたしにとっては「とても良い商品」でした。

 

その「落差」がお客さん達に伝わり、一気に信頼をなくしてしまったのです。急いで仕入れ先を戻そうとしましたが、新しい仕入れ先との契約、一度切り替えてしまった仕入れ先への連絡と再度の調整、お店の在庫との兼ね合いなどで数ヵ月かかってしまいました。

 

毎日多くのお客さんと触れ合う仕事において、数ヵ月はとても長い期間でした。信用と信頼、そして好意から生まれていたリピートがなくなったことで、売上はみるみる落ちていき、来店数も減り新商品も売れなくなる。それと前後して、多くのスタッフが辞めていきました。

 

あとから聞くと、相談をしていた人材教育のコンサルティングをしている社長が色々と手を回していたようです。わたしの最初の起業は、こうして借金4000万円を残し終わってしまいました。18歳で働きはじめ、2ヵ月目で営業成績1位、78万円のお給料をもらった時から13年間徹底していた「自分が本当に良いと思う商品を、お客さんが喜んでくれる方法で届ける」という道からそれてしまった結果でした。

 

この体験から、わたしは「どんなことがあっても、商品だけは、絶対に、お客さんを裏切ってはならない」、「品質にはとことんこだわり、妥協をしない」と、改めて固く誓いました。現在、わかさ生活が多くの人に知ってもらえて、商品をご愛顧いただける会社に育ったのは、このような体験で得た学びから「妥協しない最高の商品」を追い求められたからです。

 

お客さんを裏切るような商品は、どんな理由があれ採用しない。これは今でも徹底しています。4000万円の借金、負債を抱えてしまったわたしは会計士の先生からも債務放棄、破産をしてもいいんじゃないか、とアドバイスをもらいました。しかし、わたしは「個人で返していく」という道を選びました。どんな事情があれ、借金を踏み倒すような人間にはなりたくなかったからです。すべての債権者の方に「破産はしません、必ず返済します」と謝って回りました。一筋縄ではいかないことも多々ありましたが、最終的にはすべての人が同意をしてくれました。