(※写真はイメージです/PIXTA)
2026年「IT TOWER TOKYO」開業が象徴する、西口の大変化
池袋の変貌を語るうえで欠かせないのが、現在進行形の大規模再開発です。特に、かつて「治安の懸念」の象徴でもあった西口エリアの変化は目覚ましいものがあります。
2026年3月には、西口の新たなランドマークとなる「IT TOWER TOKYO」が開業を控えています。こうした最新インフラの整備について、調査では約6割(55.6%)の人が認知しており、そのうち40.0%が「西口がきれいになり、全体的に明るくなった」とポジティブな変化を実感しています。
「ダサい、古い、怖い」といったネガティブな三拍子は過去のものになりつつあり、代わって「洗練、国際的、活気」といったキーワードが台頭しています。アニメ文化の発信地としての「乙女ロード」の定着や、南池袋公園に代表される芝生広場の整備など、多様な層が安心して滞在できる空間が増えたことが、街の「体感治安」を押し上げているのは間違いありません。
また警視庁『区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数』を紐解くと、豊島区の犯罪認知件数は、過去10年で劇的に減少しています。かつて2010年代初頭には年間8,000件を超えていた時期もありましたが、近年ではその半分近くまで減少する年もあります。特に池袋駅周辺の街頭犯罪(ひったくりや路上強盗など)の減少幅は大きく、自治体と警察による防犯カメラの設置推進やパトロール強化が実を結んでいる格好です。
しかし、こうした「実利的な安全性」の向上に対し、居住意向がどこまで追いついているかは別の問題です。今回の調査で「池袋に住みたいか」という問いに対し、「住みたい」と回答したのは32.7%にとどまりました。住みたくない理由の筆頭には、依然として「治安が悪いイメージ」(27.6%)が挙げられています。たとえ犯罪統計が改善し、街が物理的にきれいになったとしても、一度染み付いた街の記憶を完全に払拭するには、まだ時間がかかるといえそうです。
また、居住を阻むもう一つの現実的な壁が「コスト」です。住みたくない理由の第2位には「家賃が高そう」(27.2%)がランクインしています。国土交通省の「令和6年都道府県地価調査」を見ても、池袋周辺の地価は依然として高い水準で推移しており、利便性が高まる一方で「コスパの良さ」というかつての池袋の魅力が薄れている懸念もあります。便利で安全な街になればなるほど、家賃相場が上がり、一般層が手を出せなくなるという、都市開発特有のジレンマに直面しているのです。
池袋は今、単なる「遊びに行く街」から「選ばれる居住地」へと脱皮できるかどうかの分水嶺に立っているといえるでしょう。2026年の大型タワー開業を経て、さらにビジネスやITの集積が進めば、街の客層はさらに変化するのは確実。「池袋は治安が悪い」というイメージが完全に過去のものになるのは、そう遠くない未来かもしれません。
[参考資料]
株式会社CHINTAI『「池袋=治安が悪い」はもう古い? 平成のイメージから変わる、令和の池袋再開発で治安の印象は12.0%改善』