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「医師偏在」の統計が示す、老後移住の見えない壁
日本の医療体制が抱える「医師偏在」という構造的な問題。地方移住を検討する際、多くの人が「物価の安さ」や「住居費」に目を向けますが、高度な医療を継続的に受けるためのコストを見落としがちです。
厚生労働省『医師・歯科医師・薬剤師統計(2022年度)』によると、医療施設に従事する医師の人口10万人あたり数は全国平均で267.4人。最高値の「徳島県」は360.6人、最低値の「埼玉県」は195.3人と、地域によって約1.85倍の差があり、状況は大きく異なります。一般的に都市部では医療機関が集中し、医師数が多い傾向にあります。一方、地方では医師不足が慢性化しており、診療科の偏りや高齢化も課題となっています。
また、内閣府『高齢者の健康に関する意識調査』によると、「医療サービスを利用するにあたって困っていること」として、「診察に時間がかかりすぎる」(19.8%)、「費用がかかりすぎる」(12.4%)のほか、「医療機関が近くない」(8.3%)、「往診に来てくれる(かかりつけ医等)がいない」(4.9%)など、医療サービスの地域差に起因する困りごとが上位を占めています。
豊かな自然や人間関係を手に入れ、穏やかに過ごす老後の地方移住。しかし、それが必ずしも「終の棲家」になるとは限りません。年齢とともに医療や介護の重要度は増していき、移住当初の思いが変わることも十分に考えられます。万一のときに都会に戻る準備をしておくことが、地方移住で安泰の老後を送るためのポイントかもしれません。