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23区の家賃は過去最高、「ずらし駅」が生活防衛のカギに
賃貸派が主要駅からわずか数駅離れたエリアを選ぶ動きは、データ上でも顕著に表れています。
株式会社LIFULL/LIFULL HOME'Sの調査によると、東京都心部での賃料高騰は依然として続いています。同社2025年11月時点のデータによれば、東京23区の掲載賃料はファミリー向き物件で24万4,579円(前年同月比114.5%)、シングル向き物件でも11万9,139円(同116.1%)となり、いずれも過去最高を記録しました。
物価高や実質賃金の伸び悩みが続くなか、住居費の負担増は家計を直撃します。そこで注目されているのが、利便性の高いターミナル駅から1~3駅ほど離れた「ずらし駅」です。
同調査では、人気の高い「池袋」周辺での顕著な傾向が報告されています。「池袋」駅自体の賃貸物件への問合せ数は前年比102.3%と微増にとどまっていますが、近隣の東武東上線「大山」、JR埼京線「十条」、西武池袋線「東長崎」、東京メトロ副都心線「千川」の4駅では、問合せ数が前年比110%を超えて急増しています。
この背景には、明確な「価格差」があります。 たとえば1LDKの家賃相場で比較すると、「池袋」が21.1万円であるのに対し、「十条」は15.8万円、「大山」は14.9万円、「千川」は14.8万円、「東長崎」は14.3万円となっています。
つまり、池袋から電車でわずか5分程度、駅を2~3つずらすだけで、家賃相場は5~6万円も安くなるのです。年間で考えれば60万円以上の節約になり、これは田中さんのように「生活費を抑えたい」「でも利便性は捨てたくない」と考える層にとって非常に合理的な選択肢となっています。
この「ずらし駅」のトレンドは池袋に限りません。 同じく調査によると、北の玄関口である「赤羽」周辺では、隣駅の「北赤羽」や埼玉県に入った「川口」へ需要がシフトしており、こちらでも2~3万円の家賃圧縮が可能になっています。また、郊外の拠点駅である「町田」や「大宮」の周辺でも同様の現象が起きています。
特に埼玉県の大宮周辺では、「大宮」駅(14.0万円)に対し、JR埼京線の「指扇」(9.4万円)や「西大宮」(9.2万円)を選ぶことで、4万円以上も家賃を抑えることができます。
家賃は一度契約すると毎月かかり続ける固定費です。人気エリアのブランドにこだわらず、路線図を指で少しなぞって「ずらし駅」を検討してみることが、インフレ時代を生き抜くための賢い自衛策といえそうです。
[参考資料]
株式会社LIFULL/LIFULL HOME'S『賃料高騰のなか生活費を抑える手法として広がる!注目の「ずらし駅」調査』