老後不安が大きくなるなか、十分な蓄えを持って定年を迎えることは、多くのビジネスパーソンにとってひとつの到達点といえるでしょう。しかし、現役時代に堅実に資産を築いた人ほど、退職後の解放感によって判断を誤り、思わぬ落とし穴にはまってしまうことがあります。ある男性のケースをみていきます。
助けてくれる人はいなかった。資産5,000万円の60代男性、 定年後に「スローライフ」を始めたが…800万円かけた古民家で老後資金が崩壊した日 (※写真はイメージです/PIXTA)

60代後半で要支援・要介護は35人に1人…「自分は大丈夫」の落とし穴

厚生労働省『介護給付費等実態統計月報』などによると、要支援・要介護認定者の割合は、「40~64歳」でわずか0.4%、「65~69歳」でも2.9%なので、定年を迎える人たちにとっては、どこか他人事に思えるかもしれません。しかし60代後半で35人に1人は要支援・要介護と考えると、決して他人事とはいえません。

 

内閣府『令和6年版高齢社会白書』によると、65歳以上の高齢者が要介護(要支援)認定を受ける原因として、「骨折・転倒」は全体の13.9%を占めており、認知症、脳血管疾患に次いで高い割合となっています。 老後の資金計画において見落とされがちなのが「健康リスク」。老後資産に甚大な影響を与えます。

 

佐藤さんの場合、退職直後の資産が潤沢な時期に、流動性の低い「不動産(古民家)」に多額の資金を投じました。 不動産は維持費がかかるうえ、今回のように身体状況が変化した際に、すぐに現金化できない「負動産」となるリスクがあります。さらに、自分が住むための自宅のリフォーム費用(バリアフリー化)を確保していなかったことも、資金計画を狂わせる要因になりました。

 

生命保険文化センター『「生命保険に関する全国実態調査(2人以上世帯)」(2024年度)』によると、介護にかかる費用の平均は、住宅改修などの一時的な費用が平均47.2万円、月々の費用が約9.0万円。平均的な介護期間(4年7ヵ月)で考えると、総額で500万円以上の出費となります。

 

老後の新たな趣味を持つことは素晴らしいことであり、それまで歯を食いしばって働いてきたなら、多額の資金を投じるのもうなずけます。ただ「まさかのこと」はいつ起きてもおかしくありません。「自分は大丈夫」という考えは捨てて、最悪のケースを想定した資金管理を行うことこそが、豊かなセカンドライフを送るカギとなります。

 

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