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日本の高齢男性を襲う「社会的孤立」
経済的に困窮していなくても、配偶者との死別などをきっかけに生活が破綻し、自らの健康や安全を無視して放置する「セルフネグレクト(自己放任)」に陥る高齢者の存在は、特別なものではありません。
日本の高齢男性は、国際的に見ても社会的に孤立しやすい傾向にあります。日本、アメリカ、ドイツ、スウェーデンの4カ国の高齢者を対象とした内閣府『高齢者の生活と意識に関する国際比較調査(令和2年度)』によると、他国と比較して日本の高齢者は「親しい友人がいない」と回答する割合が高いことがわかっています。
同調査では「親しい友人の有無」について尋ねていますが、同性・異性関わらず「親しい友人がいない」と回答した割合は、日本が圧倒的に多いことがわかります。
▼「親しい友人はいない」と回答した高齢者の割合
日本:31.3%
アメリカ:14.2%
ドイツ:13.5%
スウェーデン:9.9%
特に日本の男性の場合、人間関係が会社中心で形成されてきたため、退職と同時に社会との接点を失いがちです。そこに「配偶者の死」というトリガーが引かれることで、唯一の他者とのつながりすら失い、一気に孤立が深まるケースが目立ちます。
「うちの親は大丈夫」「うちの親はお金があるから何とかなる」と考えている人も多いでしょう。しかし、会社という肩書きがなくなった後、地域のなかに自分の居場所や、気軽に話せる友人がいなければ、誰もが「孤立死予備軍」となり得ると考えておいたほうがよさそうです。
[参考資料]
内閣府『高齢者の生活と意識に関する国際比較調査(令和2年度)』