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年収3,200万円、タワマン、ポルシェ…成功者の憂鬱
<事例>
Fさん 52歳
外資系生命保険会社に勤務 支社長
年収 3,200万円
妻Mさん 49歳
専業主婦
Fさんは、都内にある外資系生命保険会社で支社長を務めています。年収は3,200万円。インセンティブ給が大半を占めるとはいえ、十分な年収を誇っています。28歳のときに証券会社から生命保険会社の営業職に転職しました。入社早々から優秀な成績を出し続け、社内表彰の常連に。年収は一時期8,000万円を超えていたことがあります。39歳で営業管理職にキャリアチェンジし、営業所長からスタートして42歳で支社長へと昇進しました。生命保険業界の典型的な成功者の1人です。
支社長になると同時に都心に1億6,000万円のタワーマンションも購入しました。いつも高級スーツに身をつつみ、革靴を磨く職人が週に一回、支社長室に出入りします。ポルシェで通勤し、支社のメンバー約100人を前に朝のミーティングでマイクを持って語りかける姿は、若い営業マンたちの憧れでした。
ところが50歳になったころ、軽いメンタル不調を発症します。原因はわかりません。昼になると異常な疲れに襲われるように。革靴が自分の足を縛り付けているかのような錯覚に悩まされることもしばしば。毎日毎日、決まって体調がよくありません。部下の前では元気なふりをし続けていましたが、1人になるとひどく疲れ、ため息ばかりなのです。
体調不良のせいなのか、それとも違う原因があるのかわかりません。ただ、Fさんが自分の仕事にすっかり情熱を失いつつあるのは確かでした。
出勤前、妻についたウソ
そんなある朝のこと。玄関で靴を履いていると妻のMさんが訊きます。
「今日も遅いの?」
Fさんは妻とは目を合わせずに答えます。
「うん、今日は新人の同行があるから、夜遅くなるよ。いってきます」
実はそれは嘘でした。妻には毎日のように嘘をつき続けています。今日は会社に出社する予定はありません。会いに行くのは一人の女性。それは直接の部下である、営業社員のKさん。Fさんと不倫関係になって半年になります。2人は支社のメンバーにみられないようにするために、別々に北陸新幹線で長野県の片田舎の駅にいき、そこで待ち合わせるのが常です。
これがどれほど破滅的な結果を招くのか、Fさん自身は理解できるはずでしょう。しかし、体調不良やメンタルの不調のせいか、正常な判断ができなくなっていたのかもしれません。